2020 Fiscal Year Research-status Report
Reserarch on integrable structure of dynamical systems by geometric methods
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17K05271
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
竹縄 知之 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70361805)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 力学系 / 可積分系 / パンルヴェ方程式 / 代数幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に引き続き,4次元のパンルヴェ系について,その離散対称性を用いて岡本-坂井の意味での初期値空間を構成した.特に,藤・鈴木・津田系と呼ばれるA型アファインワイル群の対称性を持つパンルヴェ系に対し初期値空間を構成した.本研究以前には,2次元を超える次元での初期値空間の構成例はほとんどなかったが,本研究では,2次元のときに坂井氏が行ったのと同様に,良くわかっている多様体(例えばCP1の直積)からブローアップのみで構成することにより,そのホモロジー・コホモロジーの構造が明らかにし,結果としてルート系がホモロジー・コホモロジー双対空間の中で自然に実現できることを示した.このことについて単独でまとめた論文がRIMS Kokyuroku Bessatsu に掲載可として受理された.また,4次元ガルニエ系についても初期値空間を構成した.得られた多様体はかつて木村弘信氏が別の手法で求めたものと同様のものであった.これらの結果を2021年3月の日本数学会の特別講演で報告した(予稿集にも掲載).また,シドニー大学のJoshi氏やSingh氏と共同で,第2パンルヴェ階層に属する微分方程式について調べた.微分方程式の形式解を用いても,離散対称性を用いても同じ多様体が得られたが,これまでのように因子類群への作用が同型とはならなかった.その原因は,微分方程式のパンルヴェ性に由来するものと想像されるが,詳細については不明である.このことについて報告する論文を準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次元の初期値異空間の構成は難しい課題だと考えられていたので,それがある程度レシピとして完成したことは当初の予定を上回る研究成果である.一方,コロナ禍により,研究会などでの発表が1回に留まった.
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Strategy for Future Research Activity |
第2パンルヴェ階層についての論文を仕上げるとともに,笹野系についても調べる.可能な範囲で研究発表を行う.離散方程式にの場合について考察を進める.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,研究成果の発表が遅延したため,次年度使用額が生じた.今年度は,可能な範囲で研究成果の報告に使用するとともに,研究の推進に必要な経費にも使用する.
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