2018 Fiscal Year Research-status Report
抽象偏微分方程式の理論―個体数変動モデルの解析手法として
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17K05273
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
蚊戸 宣幸 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (40177423)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 個体数変動モデル / 線形化安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
空間領域に生息している生物の個体数変動をとらえるための数理モデルとして,特にサイズ構造を持つモデルについて考える。生物の状態変数が年齢の場合は非常に多くの研究があるが,ここでは,年齢も含めたより一般のサイズを状態変数としたモデルを取り扱うことを目的とする。その生息域内で各個体は空間的には拡散していくものとし,死亡,誕生,移入,相互作用などによる個体数密度の変化はサイズに依存するものとする。これまでの研究により,上記のような空間拡散を伴うサイズ構造化個体群動態モデルを考察するための枠組みとして,バナッハ空間またはバナッハ・ラティス上の抽象的偏微分方程式の理論が有効であることがわかってきた。 30年度の研究では,一般のサイズではないが,年齢構造を持つバナッハ空間上の抽象的偏微分方程式で,時間遅れを持つモデルに対する定常解の線形化安定性に対する結果を得た。ここでは,1995年の論文で得られていた非線形発展方程式に対する線形化安定性の理論を応用するのであるが,そのままでは応用できなく,少し修正が必要であった。2005年にピアッゼラとトネットは,空間拡散はないが,誕生法則に遅れのある年齢依存の線形個体数変動モデルを作用素の行列を用いて発展方程式の理論を用いて,解の存在と解の挙動について研究をしている。今回はこの考えを元に空間拡散のある非線形モデルについて考察した。この結果は,バナッハ空間上の抽象的偏微分方程式の理論の応用として意義があり,2018年11月に沖縄で開かれた第6回アジア国際会議Nao-Asia 2018において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バナッハ空間上の抽象的偏微分方程式の理論の応用として,空間拡散を考慮した抽象的年齢構造個体数モデルに対する定常解の線形化安定性の結果が得られたことから,おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
後はサイズ構造化個体数モデルに対する定常解の線形化安定性についても考察し,抽象偏微分方程式の理論の発展を進める。
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Causes of Carryover |
理由:外国人研究者を招へいするのが次年度になったため,その分の使用を見送ったので,次年度使用額が生じた。 使用計画:外国人研究者を招へいする。
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