2017 Fiscal Year Research-status Report
ベルグマン空間に対するGleason問題の可解性と積分作用素解析への応用
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17K05282
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
植木 誠一郎 東海大学, 理学部, 准教授 (70512408)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ベルグマン空間 / ジグムント空間 / Gleason問題 / チェザロ型積分作用素 / 荷重合成作用素 / 等距離作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究課題は、ある種の一般化された重み関数であるBekollet weightを持つベルグマン空間に対するGleason問題の可解性を微分作用素の立場から考察し、その解をベルグマン空間の特徴付けおよびチェザロ型積分作用素の解析に応用したいという動機に基づいている。解析の足掛かりとして、今年度はN次元複素ユークリッド空間内の単位球上で定義される正則関数からなるジグムント空間に対する特徴付けとGleason問題の可解性について研究を遂行した。特徴付けに関しては、Radial derivativeの高階微分を導入することで、ジグムント空間に属するための必要十分条件の一つとして高階Radial derivativeの局所的な可積分性であることが明らかになった。Gleason問題の可解性については、ベルグマン型射影のジグムント空間への作用の仕方を詳細に解析することで具体的な解の構成が可能となり、ジグムント空間に対するGleason問題は可解であることがわかった。Gleason問題の解の具体的な構成方法が本研究課題のベルグマン空間への応用でき、解の具体的な表現がベルグマン空間の特徴付けに活かされることが期待される。なお、今年度得られたジグムント空間についての研究結果は、雑誌:Indagationes Mathematicae New Seriesに掲載されている。 また、重み付きベルグマン空間の特徴付けについては、Invariant gradientやRadial derivativeを用いた特徴付けを考察した。1変数に対するRiesz Decomposition定理とSlice functionに対する積分公式を応用することで、いくつかの結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベルグマン空間に対するGleason問題の可解性と特徴付けについての研究を行った。Gleason問題の可解性については、ベルグマン空間と親和性のあるジグムント空間で考察することで、ベルグマン型射影の解析が重要であることが判明し、このことはベルグマン空間での考察にも役立つことが期待されるので、今後の研究の方法が確立されつつあると考える。また、特徴付けについても、ポテンシャル論の立場からであるが、Invariant gradientとRadial derivativeを用いてベルグマン空間を特徴付け、さらに標準的なノルムと同値なノルム不等式の確立までできた。
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Strategy for Future Research Activity |
ベルグマン空間に対するGleason問題の可解性を研究するために、まずはBekollet条件下でのベルグマン型射影の有界性について考える。これにはベルグマン空間へのある種の埋め込みが有効であろうと現段階では推察されている。この研究の着想を実行し、Gleason問題の可解性を研究するきっかけとしたい。また、ポテンシャル論的なアプローチで得られたベルグマン空間の特徴付けをHyperbolic型クラスに適用することで、荷重合成作用素などを含めた種々の作用素を共通に扱える理論の構築を目指したい。
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Causes of Carryover |
購入予定であった解析関数空間論に関する洋書の出版が遅れているため、次年度使用額が発生した。この額の使用計画は、次年度の物品費と合わせて、研究遂行に必要な図書の購入に充てる。
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