2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Analysis on Manifolds
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17K05284
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
古谷 賢朗 東京理科大学, 理工学部数学科, 教授 (70112901)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大域解析学 / sub-Riemann 構造 / 劣楕円型作用素 / Clifford module / pseudo H type Lie 環 / isospectral problem / spectral zeta 関数 / 国際共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度から継続して研究してきたClifford 代数のadmissible moduleに付随するベキ零Lie環の自己同型群を全ての場合について、ノルウェーの共同研究者とともに去年の秋にドイツハノーバーに滞在して完全に決定した。この完成には約3年費やした。おおよその結果は、46個の基本クラスの場合について、spin群、直交群と実数体、複素数体及び四元数体上の一般線形群等との半直積に類似の構造の群として表現されることを見出し、3つのBott周期により全ての場合が記述できたことである。基本クラスの一つ一つについてその構造の決定が必要で、いくつかの場合についての手法の共同研究者との共通理解に手間取った。又その対応するLie群をstandard latticeによって割ったコンパクトベキ零多様体上のsub-Laplacianに関するisospectral問題について、non-homeomorphicでisospectralな多様体のpairだけでなく任意個数の存在を証明した。sub-Laplacianに対するKac's問題を扱い、具体的な結果を得たのはこの論文が初めてである。更に狭い範囲ではあるがそのようなベキ零多様体のspectral zeta関数の留数がRiemann zeta関数の偶数点の値の交代和か、奇数点での値の交代和になることを具体的に決定し、スペクトル逆問題がRiemann zeta関数の整数点の値達が有理数体上での一時独立性と関連することを見出し、次元の低い場合について近似計算により逆問題が成り立つことを示した。ここでの結果は、問題点が本研究で扱っている範囲のベキ零多様体のsub-Laplacianのspectral zeta 関数は一次の極を多様体のハウスドルフ次元と関係した位置にひとつしか持たないので留数からの情報が少ないことであるが、範囲を制限すれば成り立つ場合もあることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要に述べたようにこの研究費のスタートと共に始めた問題の多くが解決されたことが大きな理由である。実際、referee付き論文として2017年-2019年に9編出版、2編が掲載決定、1編は投稿中であり、当初の研究計画の問題の内多くが解決とみても差し支えないが、共同研究から来る時間的制約もあり、最終年度の後半になりようやく取りかかれるきっかけにたどり着けた段階の問題(Cayley射影平面に関する問題)もある。当初よりこの3年間に限定された期間はそれまでの研究の継続でもあり、これからの研究遂行の為の活動でもあり、引き続き研究を継続する。特に今年度前半は上記問題に集中する。
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Strategy for Future Research Activity |
上記進捗状況で述べた残っている問題(Cayley射影平面に関する)を今年度中に完成する予定である。いくつかの重要な進展はすでに得ているが完成にはまだまだ時間がかかる。同時にこの3年間での研究結果から派生した問題についても予備的な研究を行い、次年度以降の研究の準備とする。又研究集会を2回開催し(京大RIMS共同研究公開型、大阪市大数学研究所共同研究、いずれも他大学研究者と共同して計画・申請、採択済み)周辺の話題を含めて総合的な理解を目指し、今後の研究方向を明確にする。
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Causes of Carryover |
去年の秋にドイツに2ヶ月近く滞在したが、滞在費を先方よりの補助を受け、予定額を使わずに済んだことで、当初研究計画を更に発展深化し知見を広める為に、世界での本研究に関連する研究の発展状況を見れる機会として、2020年度に京都大学数理解析研所のRIMS共同研究(公開型)と大阪市立大数学研究所での研究会を企画した(前者は立命の研究者が代表、後者は本研究代表者が代表でいずれも採択済み)。そのための招聘費用と講演料に使用できる様になった。予算的に可能なら本代表者も新たにドイツの従来からの共同研究者の大学に出張も予定している。
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Research Products
(14 results)