2018 Fiscal Year Research-status Report
C*-環の包含関係における不変的性質の研究と複雑系への応用
Project/Area Number |
17K05285
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大坂 博幸 立命館大学, 理工学部, 教授 (00244286)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Rokhlin property / C*-index theory / Jiang-Su absorption / operator means / norm attaining operators / operator monotone |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 射影作用素を持ち得ず正値な作用素を用いて特徴付けられる、有限群から単位元をもつC*-環上への一般化されたトレース的ロホリン作用を、綿谷指数有限なC*-環のペアに拡張し、一般化されたトレース的ロホリン作用の双対作用のトレース的近似表現性を定義し、Phillips氏の有限群からC*-環上のトレース的ロホリン性を持つ作用とその双対作用のトレース的近似表現可能性の同値性の結果を拡張した。その際有効な道具として、Balark, Szaboによって定義されたC*-環A,からC*-環Bへのsequentially split *-homomorphism のoredered zero 完全正値写像版を導入した。この下で、Zhang-Su吸収性と正値元からなるCuntz半群上の強比較性が, C*-環BからC*-環Aへ遺伝することを示した。
2. ヒルベルト空間上の正値線形写像のクラス上で定義される作用素平均を、正値な作用素単調関数のクラスを用いて特徴付けることを試みた。例えば、与えられた作用素平均を保存する作用素単調関数fが存在することと、作用素平均及びfが重み付きharmonic meanになることが必要十分条件であることを示した。
3. 行列環における最大固有値を求めるペロンーフロビネンスの定理は有名であるが、無限次元ヒルベルト空間Hにおいてこのような性質を持つ作用素をnorm attaininig 作用素(Nクラス)と呼ばれる。Hにおける任意の0でない閉部分空間に制限してもこの性質を持つクラスをAN クラスと呼ばれる。ANクラスは多元環構造を持たないが、正値なANクラスは特徴付けられており、正値なコンパクト作用素と自己共役な有限階作用素と単位元の正値スカラー倍の和と表現される。この正値なANクラスを保存する正値な線形写像の特徴付けを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.綿谷指数有限な包含関係を指数有限でない場合に拡張するために、直交性を保存するordered zeroの完全正値写像による*-homomorphismを導入したことにより、より広いクラスのC*-環の特徴付けに可能性が見いだすことができたことは大きい。
2.自己相似写像から導かれる複雑系の解析のためにグラフ理論を見直しているが、こちらは進展はしていない。
3.Petzによるエントロピーのリカバリーマップの評価を作用素平均を用いて行うことを試みたが、定式化はできたが評価はまだできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1.直交性を保存するordered zeroの完全正値写像による*-homomorphismを用いて保たれるC*-環における不変性について解析する。 2.C*-correspondence Xから生成されるCuntz-Pimsner タイプの環 O(X)の不変性についてordered zero の完全正値写像による*-homomorphismを用いて試みる。 3.古市氏により導入されたツァリスエントロピーの評価を展望関数による評価に拡張し、その考察をもとに、先に定義したエントロピーのリカバリーマップの評価を行う。その際 Ameur氏の補完関数の議論が応用できるか試みる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は親戚に不幸があり、海外出張をキャンセルせざるを得なかったためである。今年度の使用計画は、招待講演を受けた国際研究集会への参加旅費、及び、国内において6月21日~24日に開催する国際研究集会WORNA2019への参加、及び、修士、博士の大学院生の派遣、参加・講演をする数名の海外研究者の滞在費の支給、そして東京理科大主体で開催される関東作用素論セミナーや作用素論・作用素環論研究会への参加・講演、修士及び博士の大学院生の派遣に使用する。また、数学専門雑誌への投稿料や専門的知識提供者への謝金等に使用する。
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