2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K05286
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
内山 充 立命館大学, 総合科学技術研究機構, プロジェクト研究員 (60112273)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 作用素関数 / 作用素凸関数 / 強作用素凸関数 / 作用素単調関数 / 作用素平均 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度 L. G. Brown (Purdue Univ. USA) との共著論文で研究した Strongly operator convex function g(t) を次のように簡明に特徴付けることができた: 「正定値作用素 A, B の算術平均の g(t) による値(作用素)は g(A) と g(B) の調和平均以下である。」この結果を作用素単調関数に応用した。具体的には、正の半直線上で定義された作用素単調関数 f(t) による A, B の算術平均の値は f(A) と f(B) の算術平均以上であること、即ち作用素凹であること、が知られているが、有限区間で定義された作用素単調関数についてはこのことは成立しない。例えば tan t は (0, π/2) で作用素単調であるが、凸関数であり、作用素凹ではない。私は、f(t) の定義域が無限区間であっても有限区間であっても、「f(t) が作用素単調関数であるための必要十分条件は A と B の調和平均の f(t) による値が f(A) と f(B) の調和平均以下である」ことを示した。更に、Hamed Najafi氏 の Math. Z.(2018) に掲載された独創的な論文の中に結論は正しいが証明に過ちがあることを指摘し、それを修正・発展させた。これらのことをまとめて Proceeding of Amer.Math. Soc. (2019) で発表した。この論文には、査読者が驚くべき結果といった次の命題も含まれている。「0<A≦B なる行列 A, B に対して、X, Y の調和平均が A、算術平均が B であるような行列 0<X≦Y がただ一組存在する」 この論文と関連した短い論文を Advances in operator Theory (2020) で発表した。これらの内容を国内での次の二つの研究集会で講演した: 京大数理解析研共同研究「順序を用いた作用素の構造研究と関連する話題」、九州工業大学「実解析学シンポジウム2019」。更に、日本数学会2020(日本大学)で講演した(covid19のため中止)。講演することを視野に入れていた国際研究集会の開催地が安全とは言えない地域であったため参加を取りやめざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究課題の二つの目的である「Choi 予想の解決」と「rigid 関数の探求」については、すでに過去2年間でおおむね達成できている。次の目的は多項式と作用素単調関数に関する研究であったが、L. Brown が創出した強作用素凸関数を研究する中で、この概念が作用素平均と密接な関係があることが分かり、そのことを論文として発表した。その内容は短期的には研究目的から少し外れているが、「作用素関数」という研究課題の範疇である。
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Strategy for Future Research Activity |
正定値行列 A≧B≧0 に対して 0≦X, Y の相加平均(算術平均)が A 幾何平均が B であるような X, Y を求める。更にこれらが満たす行列2次方程式(Riccati equation)を導く。
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Causes of Carryover |
予定していた国際研究集会の開催地ヨハネスバーグが安全地域ではないため参加を見合わせたことと、2020年3月日本大学で開催予定の日本数学会が中止になり、出張取りやめになったため。 今年度9月と3月に開催予定の日本数学会で成果を発表する。いくつかの国内研究集会でも講演する予定である。また、事務用品等の消耗品を購入する。 国際会議については今年度参加を予定していたものがすべてcovid19のため中止になった。秋以降に開かれる適当な会議があれば参加し講演するが、なければ、研究期間延長申請も視野に入れている。
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Research Products
(5 results)