2019 Fiscal Year Research-status Report
Geometric constants of Banach Spaces and their applications
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17K05287
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
小室 直人 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30195862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 健一 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (00468969)
斎藤 吉助 新潟大学, 自然科学系, フェロー (30018949)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | James定数 / Birkhoff直交 / Radon空間 / von Neumann-Jordan定数 / symmtric point |
Outline of Annual Research Achievements |
1.直交性を内積空間からノルム空間に拡張する方法は数多く知られ研究されているが、Birkhoff直交性は応用の観点からもその代表的なものである。Birkhoff直交性は一般に対称性を持たないが、空間内の点ごとに見ると対称性を持つものがあり、右対称点、左対称点という概念が導入され研究されている。Turnsek の結果を基に一般のフォン・ ノイマン環において右対称点、左対称点の特徴づけを行ってきた。対称点の概念をC^*環の正錘に制限する定義の有用性に着目し、正錘の関する局所右(左)対称点の概念を導入してその特徴づけを行い、新たないくつかの応用与えた。この結果は、J. Math Anal. Appl. 474(2019) に掲載された。 2.Birkhoff直交性が対称性を持つ特殊なノルムを備えたノルム空間をRadon空間と呼ぶ。3次元以上のRadon空間は内積空間となるが、2次元のノルム空間では多様なRadon空間が存在し、その特徴づけを行った。この結果は、Ann. Funct. Anal.,11(2020) に掲載された。 3.内積空間以外でJames定数が√2となるノルム空間は、2次元では様々存在している。そのようなノルムの von Neumann-Jordan定数の下限値が以前より問題となっている。James定数が√2となるノルムの新たな例を多数見出すことを積み重ねており、James定数が√2となるノルムの新たな特徴づけや構成法、上記の 下限値の問題の解決にさらに近づいたと考えている。 4.ノルム空間における三角不等式の精密化の研究において、等号成立条件に関する新たな結果が、大和田智義氏、研究分担者の斎藤氏、三谷氏によって得られた。(京都大学数理解析研究所講究録、2143(2019))
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元Radon空間を、第1象限のノルムで表現できることが分かり、Radon空間でのvon Neumann-Jordan定数の上限の問題などに道が開けると考えている。また、Birkhoff直交の対称点の特徴づけは、Turnsek の研究である B(H) の場合を一般のフォン・ノイマン環や C^* 環の一部へ一般化できた。さらなる一般化も有望であると同時に新たな応用も得られるなど順調といえる。James 定数が√2となる2次元ノルム空間のvon Neumann-Jordan定数の下限値の問題は、進展が当初の想定より遅れているが、令和元年度までに発見された様々な例からJames定数が√2となるノルムの全体がほぼ明らかになっており、最終的な結果に至る準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の研究成果を踏まえ、2年度以降に取り組む主要な課題は以下のとおりである。 1.Birkhoff直交性の対称点の特徴づけは順調に進んでいる。C^*環の正錘に関する局所対称点の特徴づけは、前双対空間でも類似の特徴づけが可能か検討する。 2.James定数が√2となるノルム空間のvon Neumann-Jordan定数の下限値は、単位球が正8角形となるノルムが持つ 4-2√2 であると予想されるが、James定数が√2となるノルム空間の全体が年々明らかになりつつあり、準備は整ってきた。3.2次元Radon空間の特徴づけが得られたことから、そこに制限した幾何学定数の最大値の問題など応用の可能性が広がっており試みる。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた、NACA-2019 や、数理解析研究所研究集会、日本数学会年会で、本務都合や新型コロナウイルス対策により取りやめたことによる。当初研究計画に挙げた未解決課題が残されていることから、繰り越し分は令和2年旭川で開催を予定している研究集会等で使用予定である。
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Research Products
(9 results)