2018 Fiscal Year Research-status Report
Characterizations of function spaces that preserve some results on martingales
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17K05291
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菊池 万里 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (20204836)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マルチンゲール不等式 / Banach関数空間 / 準Banach関数空間 / Burkholderの弱型不等式 / Doobの弱型不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
離散時径数の一様可積分なマルチンゲールfの二次変分Sfとfの概収束極限の間には、Burkholderの弱型不等式が成立することがよく知られている。この不等式はBurkholderがLp空間に於いて成立することを証明したものである。平成30年度は、このBurkholderの弱型不等式が成立するBanach関数空間Xの特徴付け(Xが満たすべき必要十分条件)の研究を行った。この問題は本研究課題の最も重要な目的の1つである。しかしながら、この問題を解決する為には、有界区間(0,1]上の可測関数に対して定義されたある種の線形作用素の有界性に関する定理(Boydの定理等)を拡張する必要があり、相当難しいことが予想された。本研究課題の残りの4年間を掛けてじっくりこの問題に取り組むことを予定していたが、予想に反し短期間のうちに完全な形でこの問題を解決することができた。解析学の多くの分野でそうであるように、マルチンゲール理論を展開する上で、Hardy空間のようなマルチンゲールを要素とする様々な空間の解析が重要である。Burkholderの弱型不等式は、そのような空間を解析する上で欠くことのできない重要な不等式である。この弱型不等式が成立する空間の特徴付けが得られた意義は大きい。 他方、マルチンゲールfの極大関数Mfとfの概収束極限の間には、Lp空間に於いてDoobの弱型不等式が成立することもよく知られている。これまでの研究代表者(菊池)の研究により、同様の不等式が成立するBanach関数空間の特徴付けが既に得られている。その結果を拡張し、同様の不等式が成立する準Banach関数空間の特徴付けを得ることができた。この問題も当初は難しいと考えていたものである。Burkholderの弱型不等式の場合と同様に、Doobの弱型不等式の成立する空間の特徴付けに関する結果が拡張された意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の開始から2年の間に4件の研究成果があった。そのうちの2件については、既に論文に纏める作業を実施しており、双方とも近日中に投稿する予定である。また、平成30年度の研究成果に関しては、今後2編の論文に纏めて投稿する予定である。これらの研究成果は、当初予定していた研究を進める過程で得られた結果であり、予定していた研究とは異なる研究に関する成果である。しかしながら、学術的には予定していたものよりも良い結果に繋がったのではないかと思う。得られた研究成果は、当初予定した研究とは別の新たな研究に繋がるものであり、更に広い視点に立った研究が可能になった。 当初の予定通りではないものの、これまでの2年間で研究成果があったこと、及び、それらの成果により、新たな視点に立った研究が可能となったことから、研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初から予定してた研究として、Fefferman型のマルチンゲール不等式が成立する Banach関数空間の特徴付けの研究、及び、Lp空間に於いて成立する「マルチンゲールfの2次変分とfの概収束極限の絶対値によって生成されるマルチンゲールの2次変分の不等式」と同様の不等式が成立するBanach関数空間の特徴付けの研究を進めたい。 また、当初の予定にはなかったものの、これまでの研究成果から新たに派生した研究として、これまで研究代表者(菊池)が研究を進めてきた種々のマルチンゲール不等式を弱型に変更した不等式が成立するBanach関数空間の特徴付けの研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
平成31年度は、入試関連の業務など大学内の業務が例年に比して非常に多っかたこと、及び、豪雨などの自然災害により、予定されていたセミナーなどが立て続けに中止になったことなどから、研究集会やセミナーに参加できないことが多く、旅費の使用が予定を下回った。更に、次年度に利用できる直接経費の額があまり多くないことを考慮し、敢えて次年度に使用額を残すこととした。 次年度も本研究課題に関連する研究集会やセミナーにできるだけ多く参加し、討論・情報交換を行う。旅費だけで、次年度に使用できる額の8割以上を占めることになると思われるが、次年度の使用額が生じたことから、これまで不足していた消耗品を購入することを予定している。
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