2020 Fiscal Year Research-status Report
Characterizations of function spaces that preserve some results on martingales
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17K05291
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菊池 万里 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (20204836)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マルチンゲール / Banach関数空間 / ノルム不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、研究代表者の所属する富山大学においても様々な対応に追われ、計画通りに研究を進めることができなかった。そのため、計画を変更し、インパクトは大きくなくとも時間のない中で実行可能と思われる研究を進めることにした。その結果、Burkholder-Davis-Gundy型の弱型不等式が成り立つBanach関数空間の特徴付け、及び、離散時径数の確率過程の良可測射影、及び、可予測射影に対する弱ノルム不等式が成り立つBanach関数空間の特徴付けを得ることができた。 Lp-空間のノルムを用いて弱Lp-空間を定義するのと同様の方法により、Banach関数空間Xのノルムを用いて、Xの弱空間w-Xを定義することができる。離散時径数マルチンゲールf=(f_n)に対して、その極大関数、及び、2次変分をそれぞれ、Mf、Sfと記すことにする。Mf、Sfのノルムを互いに他のノルムで評価する不等式をBurkholder-Davis-Gundyの不等式と呼ぶ。1≦p<∞であるとき、Lp-空間においてそのような不等式が成り立つことはよく知られている。2019年度までに、同様の不等式が成立するBanach可数空間Xの特徴付けを導出することができた。更に、2020年度の研究結果として、MfのXにおけるノルムをSfのw-Xにおける準ノルムで評価する不等式が成立するようなBanach関数空間Xの特徴付けを得ることができた。この結果は、2019年度の研究結果と併せて纏めた上で、論文として発表する予定である。 また、離散時径数の確率過程z=(z_n)の良可測射影及び可予測射影をそれぞれ、Oz、Pzで表すとき、Oz、Pzの2次変分のXにおけるノルムをz=(z_n)の2次変分のw-Xにおける準ノルムで評価する不等式が成立するBanach関数空間Xの特徴付けを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、これまで進捗のなかった「Fefferman型のマルチンゲール不等式が成立するBanach関数空間Xの特徴付け」(Xの満たすべき必要十分条件)を導出することを目標と定め、研究を推進する予定であった。しかしながら、この研究を十分に進めることはできなかった。その主な理由は次の2点である。 (1): 新型コロナウイルスの感染拡大により、本研究課題代表者の菊池が所属する富山大学では、授業や卒業研究学生、大学院の学生の研究指導などにおいて、これまでにない様々な対応を強いられ、研究に充てる時間が著しく不足したこと。 (2): 2019年度に評議員・副学部長の任命を受け、大学教員の通常の業務に加えて学部運営の業務が加わったこと。更に、日本数学会の実函数論分科会選出の評議員としての活動も研究推進のための時間を圧迫したこと。 (1)について、感染拡大により、大学の授業もオンラインでの実施になったが、オンラインによる授業は、準備だけでもこれまでになく多くの時間が必要である。それに加え、対面での授業との差を少なくするために、受講生への課題を増やすなどの処置も必要となり、多くの時間を授業のために費やすこととなった。卒業研究の学生、大学院学生の研究指導においても、多くの時間を費やす必要があったことは同様である。 (2)について、感染拡大に伴い、学部運営の面でも様々な対応を強いられることとなった。会議さえもままならない中、学部としての感染対策などのための対応に、多くの時間を費やすさざるを得なかった。結果として、本研究課題のために費やすことのできた時間はわずかとなり、予定していた研究を十分に進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2020年度に研究を進めることができなかった、「Fefferman型のマルチンゲール不等式が成り立つBanach関数空間の特徴付け」の導出を目指したい。この目標を達成するためには、解決すべき多くの課題があり簡単ではないが、この研究を進める過程で得られる結果や手法も、それ自体、他の研究に応用可能であることが予想できる。時間の許す限り、是非この研究に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
本研究課題は、調和解析学を中心とする実解析学、及び、確率論を融合するものであり、双方の分野の専門家(研究者)との交流が欠かせない。実際、定期的に実施される調和解析学のセミナーなどに参加し、知識の提供を受けたり、情報交換を行って研究を進めてきた。しかしながら、2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、研究集会やセミナーなどが実施できなくなり、予定していた出張が全くできない状況となってしまった。本研究課題の計画では、直接経費の多くを出張旅費に充てる予定であったため、結果的に37万円ほどを2021年度に繰り越して使用することとなった。 2021年度においても、旅費としての使用を最優先としたいが、2021年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響は多きものと考えられる。従って、可能な限りを旅費として使用し、残りの経費については物品の購入に充てたい。本研究課題は、複数の分野の知識や文献が必要となるが、残念ながら富山大学には、十分な文献が揃っているとはいえない。これまで、出張の際などに他大学の所有する文献をコピーしたりしてきたが、それもできないので、必要な文献・図書を購入する。また、本研究課題の経費を利用してPCを新しくしたが、これまで利用してきたPC周辺機器(プリンターやスキャナー)が古いものであるためドライバーが合わず、新しいPCに接続できない状況である。これらの周辺機器も購入したい。
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