2020 Fiscal Year Research-status Report
Research for decay and blow-up of solutions to nonlinear Schrodinger equations
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17K05305
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北 直泰 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70336056)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非線形シュレデインガー方程式 / Benjamin-Ono方程式 / 解の爆発 / 解の漸近挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、非線形分散型方程式の解について「①有限時刻における爆発」および「②時刻∞における漸近挙動」の2テーマに関する研究に取り組んだ。①の研究では、非線形増幅項を含むシュレディンガー方程式について、初期データがL^2ノルムの意味でどんなに小さくても(もちろん 0 は除外)、有限時刻で解が爆発することを示した。この結果はOCAMIのプレプリントサーバーに掲載されている。爆発解の存在については、近年、Cazenave-Marter-Zhao によって論文化されているが、彼らの結果では初期データのサイズが“大きい”状況で証明がなされている。本研究における成果は、初期データのサイズの観点で改良がなされている。この研究の今後の展望については、H^1ノルムやH^s(s > 0)ノルムの意味で初期データが小さくても、有限時刻で解の爆発が生じるかどうか…という研究の方向性がある。②の研究では、一般化されたBenjamin-Ono方程式について、時刻∞における解の漸近展開を行っ(これは島根大学の和田健志氏の示唆に依るところが大きい成果である)。通常の理論では、解の漸近主要項を特定するところで証明が完結することが多い。しかし、この研究では「解と主要項との差」の漸近挙動を特定することに成功している。これは主要項の次に現れる漸近項を特定していることになっている。今後の課題として、非線形項のベキを下げて解の漸近展開ができるかどうか…という問題が残されている。Benjamin-Ono方程式にはシンボルが滑らかではない微分作用素が含まれていおり、これが誤差項の評価をかなり厄介なものにしている。2020年度はCOIVID19が世界に蔓延したため、所属大学における教育義務の負担が異常なまでに増えてしまった。そのため、研究の時間を大幅に削ぐこととなってしまったことが悔やまれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に新型コロナウィルス感染症が世界中に蔓延したことにより、大学における教育義務と組織運営に関して大幅に時間を割くこととなった。特に講義がオンライン化したことにより、資料を新しく作り直す必要に迫られ、研究に費やす時間を削がざるを得なかった。また、出張の機会も激減することとなり、共同作業で行う研究にも支障が出た。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に講義をオンライン化する資料を作ることができたので、2021年度は教育負担が軽減されることが期待される。したがって、今まで教育業務に掛けていた時間を研究に転用することで、遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
【理由】2020年度に新型コロナウィルス感染症が世界中に蔓延したため、出張計画や研究者の招聘計画がすべて白紙に戻ることとなった。 【使用計画】前年度に研究時間を削がれた分、今年度は論文執筆に時間を割いて、数学雑誌への投稿機会を増やす。論文掲載料によって予算を消化するように試みる。
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Research Products
(2 results)