2023 Fiscal Year Annual Research Report
Shapes of functions, asymptotic behavior and function spaces associated with solutions to nonlinear dispersive equations
Project/Area Number |
17K05311
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐々木 浩宣 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (00568496)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ディラック方程式 / 散乱問題 / ハートリー項 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は主に、空間3次元のハートリー項付きディラック方程式の散乱問題について研究した。この方程式は、クライン・ゴルドン方程式に「ハートリー項を1階微分した」非線型項が備わったものと深い関連がある。 (背景)空間3次元のハートリー項付きディラック方程式については、ハートリー項の主軸を成す「相互作用ポテンシャル」が(適切な条件を課した)リースポテンシャルもしくは湯川ポテンシャルとなるとき、適当なヒルベルト空間(ソボレフ空間)Xの或る0近傍上において散乱作用素が定義されることが既に証明されている。今回のテーマは、前述の散乱作用素を詳細に分析することである。非線型項の特性から、「散乱作用素は、(Xの意味で十分小さい)入力データの滑らかさを維持する」ことが容易に示される。しかし散乱作用素が「入力データの減衰スピード」も維持するか否かは改めて証明する必要がある。 (主結果)今年度は、「遠方で多項式(の逆数)より速く減少する」相互作用ポテンシャル(湯川ポテンシャルが代表例)を設定したハートリー項付きディラック方程式を考察し、「入力データが急減少関数であるとき、それを散乱作用素で写した出力データも急減少関数になること」を証明した。証明のキーワードは「端点ストリッカーツ型評価」「非斉次ベゾフ空間を用いた不等式」「入力データと相互作用ポテンシャルに依存して定まる適切な関数空間」である。これらの結果は学術論文として纏められ、査読付き国際学術論文へ投稿する予定である。
|