2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05312
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 英之 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (20431497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非圧縮性粘性流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元半空間における非圧縮性Navier-Stokes方程式の初期値問題の研究を行った(前川泰則氏およびChristophe Prange氏との共同研究).この問題に関してはLeray(1934)およびHopf(1951)等により,エネルギーが有限な初期速度場に対しエネルギー不等式を満たす弱解が時間大域的に存在することが示されている.Lemarie-Rieusset(1999)は3次元全空間で定義された初期値問題に関して,エネルギー無限大となる初期速度場に対しても,時間大域的弱解が構成できることを示している.彼は一様局所型L2空間を導入し,初期速度場がこの空間に属しているならば局所エネルギー不等式を満たす弱解が存在することを証明している.この結果は菊池-Seregin(2007)により別証が与えられており,圧力の新しい表現公式を導入することにより,解のより詳しい情報が得られている.本研究ではこれらの結果を参考に3次元半空間において時間大域的な弱解の構成を行った.証明では前川氏,Prange氏との研究で得られた一様局所型空間における時間局所的な可解性(preprint)および半空間における圧力の表現公式を用いた解析が鍵となる.後者は全空間における菊池-Sereginによる公式に対応するものであるが,境界の影響を考慮する必要があることが困難な点である.主結果の応用として,解の爆発時刻付近でのスケール不変なノルムの発散についての結果を得た.これはBarker-Sereginによる最近の結果の別証明を与えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半空間における非圧縮性Navier-Stokes方程式に関しては,無限エネルギー弱解の構成を行うことができた.領域の形状については制約がつくものの,非線形問題に対する可解性の結果を得ることができたので,研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
非圧縮性粘性流体の研究については,研究計画に従って,より一般の領域におけるNavier-Stokes流の解析を行う.そのために共同研究者と引き続き議論を行う.
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Causes of Carryover |
海外出張を予定していたが,諸事情により出張に行く時間が取れず出張旅費が予定額を下回った.次年度に海外出張のために利用の予定である.
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Research Products
(5 results)