2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05312
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 英之 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (20431497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非圧縮性Navier-Stokes方程式 / 弱解 / 正則性 |
Outline of Annual Research Achievements |
非圧縮性粘性流体の運動を記述する非圧縮性Navier-Stokes方程式の解の正則性について研究を行った.特に弱解のクラスの一つである局所エネルギー解(local energy solution)の研究について,その正則性および特異点近傍での解の挙動に関する成果が得られた.まず正則性に関しては,重み付きL2空間に属する初期値に対して,局所エネルギー解が正則(滑らか)となるような時空領域についての評価を得ることができた.同種の評価は通常のL2空間についてはLeray(1934)により,また特定の重み付き空間に対してはCaffarelli, Kohn, Nirenberg(1982)によって得られていたが,今回の研究により重みのクラスを従来の結果を含む形で一般化することができ, 特に,初期値の原点での特異性および無限遠での減衰と,解の正則性が保証される時空領域についての関係を導くことができた. 特異点近傍の研究に関しては,弱解に対しI型と呼ばれる条件を満たす特異点が存在したならば,その近傍において,ある種のエネルギーの局所的な集中現象が起こることを示した.このような特異点近傍における集中現象は半線形熱方程式や分散型方程式においては知られていたが,非圧縮性Navier-Stokes方程式に対しては新しい知見と思われる. また離散的自己相似解(discretely self-similar solution)とよばれる(弱)解について研究を行い,解が不変となるスケールがあまり大きくない場合は,エネルギーが局所有限となる解は(時間大域的に)正則であることを示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非圧縮性Navier-Stokes方程式の研究においては,昨年度の研究において得られた考察を発展させることで,弱解の正則性に関係する幾つかの問題について新しい知見を得ることができた.今回用いた解析手法は,これまで個別の手法によって研究されていた複数の問題を統一的に扱うことを可能とする点でも興味深いと思われる.以上の理由から研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
感染症の流行により,引き続き出張や学会発表等の研究活動が制限される可能性が高いため,オンライン上での研究討論や情報交換を行うことにより研究を推進する.今年度得られたNavier-Stokes方程式の弱解の正則性に関する研究成果について,今回用いた手法が他の非線形方程式の解析にも応用できないか検討を行う.
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Causes of Carryover |
研究発表や打ち合わせのための出張を計画していたが,新型感染症の流行による研究集会の開催方法の変更等の諸事情により,その機会が減り,旅費による支出額が想定を大幅に下回った.次年度は海外出張や研究に必要な機材の購入等のために使用する予定である.
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Research Products
(5 results)