2017 Fiscal Year Research-status Report
非線形双曲型・分散型方程式の零構造と高周波漸近解析
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17K05322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
砂川 秀明 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (80375394)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 零構造 / 非線形シュレディンガー方程式 / 非線形波動方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度の研究成果は大きく分けて、微分型非線形シュレディンガー方程式系に関するものと非線形波動方程式系に関するものの2種類に分類される。以下それぞれについての成果の概略を記す。
・複数の質量項を持つ微分型非線形シュレディンガー方程式系の弱零構造に関する研究を行った。代表者は前年度までに、Chunhua Li氏との共同研究によって空間次元が1の場合にはある程度満足できる結果を得ていたが、これを高次元化することを当年度の目標として研究に取り組み、空間2次元において系がゲージ不変性を持つ場合については上記の先行結果の拡張と見なしうるような構造条件を与えることに成功した。今回得られた結果により、Li氏が2012年に得ていた非線形項に未知関数の微分が含まれない場合の結果と、代表者が2015年に池田正弘氏・片山聡一郎氏との共同研究で得ていた(強い)零条件が満たされる場合の結果とを統一的に捉えることが可能となった。今回の結果はさらに、M.Colin氏とT.Colin氏が2004年に提示した物理モデルも典型例として含んでおり、空間2次元でゲージ不変性を持つ系に関してはこれまでに知られた結果のうちでもっとも一般的な結果であると代表者は考えている。以上の結果は迫田大輔氏との共同研究によるものであり、現在専門誌に論文を投稿中である。
・当年度後半より半線形波動方程式系の弱い消散構造についての研究を開始した。2015年に代表者が片山聡一郎氏・松村昭孝氏と共同で得ていたエネルギー減衰に関する結果を、非線形消散性がある意味で退化する場合へ拡張することを目指した。現時点ではまだまとまった結果には至っていないが、指導下の大学院生たちと共同でいくつかの興味のある例を構成することに成功し、一定の手がかりを見出すことができたと代表者は考えている。この研究は次度以降も継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上に記した迫田氏との共同研究によって得られた成果から判断して、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
微分型非線形シュレディンガー方程式系および非線形波動方程式系の弱零構造および消散構造に関する研究を継続する。また、国内および海外で行われる各種研究集会に参加して成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
<理由> 9月に予定していた海外出張1件がキャンセルとなったために見込み額と執行額の間に差が生じた。
<使用予定> 共同研究者との研究打ち合わせ並びに研究成果発表のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)