2019 Fiscal Year Research-status Report
非線形双曲型・分散型方程式の零構造と高周波漸近解析
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17K05322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
砂川 秀明 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (80375394)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 弱い消散構造 / 非線形波動方程式 / 非線形シュレディンガー方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度の研究成果は大きく分けて、非線形波動方程式に関するものと非線形シュレディンガー方程式に関するものの2種類に分類される。以下それぞれについて成果の概略を記す。
・昨年度までに引き続き、半線形波動方程式の弱い消散構造についての研究を行った。「Agemi型の構造条件」と呼ばれる非線形消散構造を特徴づける条件において弱い退化が起こる場合の解の長時間挙動について考察し、単独の方程式で標準的な零条件を満たさないが弱い意味でのAgemi条件を満たす場合にはエネルギー減衰が起こることを証明した。また、いくつかの特別な場合には減衰レートの定量的な評価を与えることにも成功した。この成果は大学院生の西井良徳氏、寺下拓貴氏との共同研究によるものであり、現在専門誌に論文を投稿中である(arXiv:2002.09639)。
・微分型の非線形項を伴うシュレディンガー方程式に対して、上述の非線形波動方程式の類似に相当すると期待される状況に注目し、解の長時間挙動についての考察を行った。L^2の意味での解の減衰・非減衰に関していくつかの成果が得られた。これらはChunhua Li氏・西井良徳氏・佐川侑司氏との共同研究によるものである。これらの成果を計3編の論文(arXiv:1905.07123、arXiv:2001.10682、arXiv:2004.12075)にまとめ、それぞれ専門誌に投稿した。うち1本は掲載が決定し、2本は現在査読結果を待っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上に記した成果から判断して、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
非線形波動方程式および非線形シュレディンガー方程式に対する弱い消散構造とその周辺に関する研究を継続する。また、国内および海外で行われる各種研究集会に参加して成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で年度末のいくつかの研究集会が延期または中止になったために次年度使用が生じた。今後の使用予定はCOVID-19にまつわる社会情勢の動向に大きく依存するため未詳であるが、もし早期終息するならば、成果発表のための出張旅費と研究集会開催のための費用として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)