2020 Fiscal Year Annual Research Report
Stability analysis for planar traveling solutions for nonlinear dispersive equations
Project/Area Number |
17K05332
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水町 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (60315827)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | KP-II方程式 / Benney Luke 方程式 / 1-線ソリトン解 / 平面孤立波解 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
遠浅の海岸には波の進行方向と鉛直な方向に一様で形状を変えずに一定速度で進む波(線状孤立波)が現れる.KP-II方程式はこれらの波が安定的に伝播するメカニズムを説明するために,1970年にKadomtsevとPetviashviliによって導出された3次元水面波方程式の長波長近似モデルであり,KdV方程式と同様に完全可積分系の方程式であるために線状孤立波同士が交叉する様子を捉える厳密解(多重線ソリトン解)を持つ. 昨年度に引き続き,KP-II方程式の定常進行波解である,P型,O型の2線ソリトン解とY型のレゾナントソリトンの線形安定性をダルブー変換を用いて研究した.ソリトンの稜線に沿って進む波の伝播方向に応じた線形安定性の結果が成り立つとの着想を得て,現在研究中である. 1-線ソリトンが(弱い意味で)安定であることは,2015年と2018年に出版された論文により既に分かっていたが,研究期間中に1-線ソリトンに重み付き空間での微小な摂動を加えた場合には線状孤立の位相のずれ最大値ノルムが小さなままであることが証明できた.この結論が多重線ソリトンの場合にも成り立つとすれば,多重線ソリトン解の周りの解の挙動は線形化方程式で近似できると期待できる.今後は変調する多重線ソリトンを表すパラメータに関する偏微分方程式系を導出することが課題になる. 研究期間中(2017.04-2021.03)にはこの他,水面波方程式の空間等方的な長波長近似モデルであるBenney-Luke方程式の線状孤立波解の安定性を証明し,KP-II方程式の線ソリトンの安定性解析は完全可積分系以外の方程式でも有効なことが示せた. 期間中に研究課題に関連したテーマで韓国でサマースクールを共催した他,可積分系の手法を用いた分散型方程式ついての国際研究集会に参加した.
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Research Products
(1 results)