2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05333
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
内藤 雄基 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (10231458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪奥 倫左 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (50624607)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非線形解析 / 非線形熱方程式 / 自己相似解 / 特異解 |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形問題においては、解の値が有限時刻で無限大に発散したり、初期値や方程式に含まれるパラメータをわずかに変えるだけで解の挙動や性質が劇的に変化するような現象が多く知られている。本研究では、非線形放物型偏微分方程式および、その定常問題である非線形楕円型偏微分方程式に対して、解の特異性と解構造について考察を行った。 今年度は、優Sobolev臨界非線形項をもつ非線形熱方程式の正値解において、後方自己相似解に前方自己相似解を接続することにより、peaking 解という特殊解の構成を行った。これにより特異定常解より大きい爆発形状を持つ不完全爆発解の存在を示すことができた。さらに爆発後の解の延長について、最小接続解と非最小接続解の性質を明らかにした。 べき乗型の非線形項を持つ非線形熱方程式に対して、空間次元が11次元以上かつ非線形項の指数がJoseph-Lundgren の指数より大きい場合について考察を行った。自己相似解のオーダーで減衰する関数を初期値としてもつCauchy 問題においては、解の時間大域挙動が、初期関数の空間無限遠方での挙動で決定されることを示した。さらに、その性質と初期関数に関する連続依存性を用いることにより、自己相似解の減衰オーダーにおいて、初期関数に応じて複雑な挙動を持つ解の構成をすることができた。 優 Sobolev 臨界非線形項を持つ楕円型方程式における特異解の存在、一意性、漸近的性質について考察を行った。非線形項が、べき乗に摂動が加わる場合、あるいは指数関数に摂動が加わる場合、それぞれの場合に、特異解の存在、一意性、漸近的性質を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形楕円型偏微分方程式の解構造、特異解の構成および非線形放物型偏微分方程式の特異解の構成において、Sobolev 臨界指数、 Joseph-Lundgren 臨界指数の及ぼす影響を明確にすることができた。さらに、これらの成果の応用として走化性方程式系に対する爆発問題に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
走化性方程式系から帰着される非線形偏微分方程式の定常解および特異解の定性的性質を明らかにし、方程式系の解の時間大域存在、有限時刻爆発解との関係性について研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
指数関数を非線形項に持つ楕円型方程式の解構造および走化性方程式系の解の特異性について検討を行い、そこから得られる結果を研究集会で発表する予定であったが、研究分担者の猪奥倫左氏が愛媛大学から東北大学に転任したこと、および研究協力者の和久井洋司氏がポーランドにポスドクとして1年間転出したことにより研究打ち合わせを遅らせたことにより未使用額が生じた。 さらに新型コロナウイルスの感染拡大により2月末から3月にかけて予定していた研究連絡が延期となってしまい、されに未使用学が生じた。 このため、研究打ち合わせ、およびその成果の研究集会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(11 results)