2018 Fiscal Year Research-status Report
pラプラシアンの固有値問題と関連する楕円積分の研究
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17K05336
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 慎吾 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (00333021)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | pラプラシアン / 一般化三角関数 / リャプノフ不等式 / 加法公式 / 倍角公式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の本研究課題の研究成果は以下のとおりである。(I) 一般化三角関数の応用 (II) 一般化三角関数の倍角公式。なお、一般化三角関数とはpラプラシアンの固有関数のことである。
(I) について。流体力学に現れるプリミティブ方程式に由来する非局所境界値問題に対して、そのすべての正値解を一般化三角関数を用いて表現できることが証明されている(2017年度の研究成果)。2018年度はその解表示を用いて、正値解の最大点の位置がある種のベータ分布の中央値に関係して評価されることを証明した。また、pラプラシアン版の L^q リャプノフ不等式を導出し、その最適定数と等号を満たす関数を一般化三角関数を用いることで具体的に表現することに成功した。これらの成果は研究室学生との共同研究として日本数学会や RIMS 共同研究で発表し、論文にまとめて現在投稿中である。
(II) について。一般化三角関数は三角関数の一般化であるから、加法公式や倍角公式のような等式が成立するのかどうかは極めて興味深い問題である。これまでは三角関数やレムニスケート関数などの古典的なものと Edmunds らによって2012年に発表された特殊な場合についてのみこれらの公式が知られていた。2018年度は研究代表者が以前発見した異なるタイプの一般化三角関数の間に成り立つ横断的な倍角公式を用いることで、既知の結果からこれまで知られていなかった別の場合の公式を導けることを示し、二つの新たな場合に関する公式を得ることに成功した。これらの成果は研究室学生との共同研究として論文にまとめて現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開拓されたばかりの分野で解くべき問題が山積しており、得られた成果を研究集会で成果を報告するとそれなりに反響があるので、研究は順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、一般化三角関数(pラプラシアンの固有関数)の性質、主に数論的性質について研究し、その成果を広く発表していく。
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Causes of Carryover |
購入する予定だった洋書が年度内に納品されそうになく購入しなかったため。
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