2017 Fiscal Year Research-status Report
Asymptotic behavior of solutions of dissipative hyperbolic equations
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17K05338
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山崎 多恵子 東京理科大学, 理工学部数学科, 教授 (60220315)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 消散型波動方程式 / structural damping / 解の漸近形 / 大域解の存在 |
Outline of Annual Research Achievements |
周波数に依存する消散項(structural damping)と、超臨界べき次数の非線形項をもつ消散型半線形波動方程式の大域解の一意存在と漸近形について考察した。より正確には、双曲型方程式となる、消散項が周波数の1未満の正べきに比例する場合を考察した。 上記の方程式に対する小さい初期値に対する大域解の一意存在について、先行研究では, 消散項が依存する周波数のべき乗の次数が小さくなるに伴い、空間次元の上からの制限が強くなった。一方、周波数に依存しない弱い消散項をもつ消散型波動方程式に対しては、任意の空間次元において重み付きSobole空間に属する小さい初期値に対する臨界べきをもつ消散型波動方程式の大域解の一意存在が知られている。しかし、本研究で考察している消散項が周波数の分数べきに比例する場合には、低周波における線形方程式の基本解が周波数が原点の近くで特異性を持つことが、重み付きSobolev空間で考察するときに困難さを生じさせる。本研究では、重みをもつLaurenz空間で考察し、先行研究とは異なる方法で低周波を評価することにより、2次元以上の任意の空間次元で、上記の消散型半線形波動方程式の小さい初期値に対する大域解の一意存在を示した。 次に、小さい初期値が重み付き可積分関数であるときに解の漸近形について考察した。上記の消散型波動方程式については、線形方程式の場合は漸近形が知られていたが、半線形方程式では知られていなかった。本研究では、初期値が重み付きL1関数となる小さい初期値である時に、上記で示した大域解の漸近形が対応する放物型方程式の基本解の定数倍で与えられることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨界べきと予想されるべきを超える非線形項をもつ周波数に依存する消散項を持つ半線形波動方程式の小さい初期値に対する大域解の一意存在について、先行結果における空間次数の上からの制限をなくし、さらに、これまで知られていなかった上記の半線形消散型波動方程式の解の漸近形を与えることにも成功したので、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
消散項が周波数および時間変数に依存する半線形消散型波動方程式について、大域解の一意存在性と拡散現象について考察し、周波数への依存度と時間変数関数の減衰度に応じた解の漸近挙動の変化を解析する。 国内外の研究集会に出席し、最新の関連研究結果についての情報収集を行い、参加者との意見交換等を通じて、本研究に役立てる予定である。
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Causes of Carryover |
諸事情により、当初計画通りに、研究出張を行えなかったため。 次年度の旅費に加える予定である。
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