2020 Fiscal Year Research-status Report
Profile of solutions and propagation phenomena for free boundary problems appearing in mathematical ecology
Project/Area Number |
17K05340
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松澤 寛 神奈川大学, 理学部, 准教授 (80413780)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 自由境界問題 / 反応拡散方程式 / 多安定型 / テラス解 / propagating terrace / 進行波 / 球対称 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までの研究で,多安定型非線形項をもつ空間1次元の反応拡散方程式の自由境界問題において,適当な条件の下で解が速度の速いsemi-wave(自由境界問題に対応する進行波)に速度の遅い進行波を積み重ねた形状をもつテラス解(propagating terrace)に収束するということを証明し,さらに,この結果を空間多次元の球対称の場合へ拡張を行った.特に空間多次元球対称の場合,spreading解が漸近的にlog tのずれ(logarithmic shifting)を含むテラス解へ収束することを証明することに成功した. 空間1次元の問題についての結果はすでに論文としてSIAM Journal on Mathematical Analysisから出版されている. 空間多次元の問題についての論文は論文が長くなることから,解の漸近挙動の分類に関する結果と,spreading解の漸近的形状に関する結果について2つに分け,兼子裕大氏(日本女子大学),山田義雄名誉教授(早稲田大学)と共同で執筆を行っている.まず,解の漸近挙動に関する結果については論文が完成し,すでに学術雑誌へ投稿を行った.解の漸近的形状についても兼子氏,山田教授と論文を執筆し,現在投稿に向けた最終段階となっている. また,対称性を仮定しない場合についての解の漸近挙動の分類についても今後研究を行う予定で準備を進めている. 本研究成果は2021年8月に行われる偏微分方程式論札幌シンポジウムにて発表を行う予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の段階で予定していた内容,具体的には,多安定型反応項をもつ反応拡散方程式の自由境界問題において,空間1次元の場合,ある条件下で解の形状がpropagating terraceへの収束すること,空間高次元球対称の場合について解の漸近挙動についての分類,解の漸近的形状について全て証明ができており,論文の完成を残すのみとなっているため.
|
Strategy for Future Research Activity |
空間多次元の問題について,spreading解の漸近的形状に関する結果について論文を完成させ,学術雑誌へ投稿を行う.
|
Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い,予定されていた国際会議が中止となり,国内研究集会もオンライン開催となった.そのため旅費の執行がなかったため国内における研究打ち合わせにとどまった.2021年度は8月に開催される「偏微分方程式論札幌シンポジウム」での講演旅費として使用する予定である.
|