2020 Fiscal Year Research-status Report
モデル理論におけるShelah予想とその解決に向けた研究
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17K05342
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坪井 明人 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30180045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 真弘 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30251028)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モデル理論 / 無限組み合わせ論 |
Outline of Annual Research Achievements |
完全な理論 T の安定性(stability)は,順序性(order property)を持たないこと,すなわち T の飽和モデルの中に(弱い意味であっても)順序構造が入らないという性質と同値であることが知られている.さらに Shelah の古典的な結果として,順序性は二つの特徴的な場合があることが知られている.それらは,強い順序性(strict order property)と独立性(independence property)であり,順序性のもとでは,これらのうち,何れかの性質を持つことが示されている.さらに,強い順序性を持てば,定義可能(first order definable)な擬順序構造(preorder)が入ることも簡単に分かる. Shelahはその著書Classification Theoryの中で,互いに独立となる強い順序性の可能な個数について,Questionを述べている.Peano公理系を拡大するような理論では,無限個の互いに独立な強い順序性が入る.また弱い理論では,その個数は少なくなる.したがって,理論の強さを測る一つの指標を与えていると考えられる.我々は,この問題に関連して,準加法性(sub-additive)という概念を用いて考察した.現段階で,前述著書に含まれるものを系として導き,Questionに対する一つの解を提供する結果を得ており,APALに掲載されている.数学的により正確には次のような結果を得ている: n変数における独立な強い順序性の個数を表すモデル理論的普遍量を κ(n,T)と表すとき,n に関して,この普遍量は準加法的である. したがって,特にこの普遍量が無限の場合は,κ(n,T) = κ(1,T)を導き,Shelahの結果の拡張になっていることが分かる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題は無限組み合わせ論とも深くかかわっていることが分かってきた.そのため,その方向性でも研究を行い,関係する研究者との連絡も緊密に行おうとしている.しかしながら,Covid 19 による影響で,対面での議論がほとんどできない現状にある. このため,方向性についての議論,意見聴取などの活動ができず,研究はやや遅れている状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
無限組み合わせ論との関連性を研究するが,同時に有限数学との関連性の研究も行いたい.Covid 19の影響により,対面でのセミナーができない状況にあるが,Zoom,Teams などのコミュニケーション手段を用いて,分担者との連絡を密にしていく.
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Causes of Carryover |
Covid 19 の影響で,予定していた国内外の出張による研究打ち合わせが不可能となった.同時にそのための資料作成の予算を次年度に繰り越す必要が出てきたため次年度使用額が生じた. 今後は,電子的コミュニケーションツールを最大限に利用して研究を維持していく.
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Research Products
(2 results)