2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05344
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
川北 素子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80467373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 代数曲線 / 有理点 / 最大曲線 / Serre上界 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報通信技術が発達し、効率良い誤り訂正符号が求められている。Goppaが代数幾何符号を発見して、有限体上のおいて多数の有理点を持つ代数曲線から、そのような符号が構成できることを明らかにした。ところが、代数曲線論ではそのような代数曲線の存在や性質について未解決となっている部分が多く残されている。有限体と代数曲線の種数を固定したとき、代数曲線が持ち得る有理点数について、Hasse-Weil上界があり、この上界に到達する代数曲線は最大曲線と呼ばれる。また、Hasse-Weil上界を改良したものにSerre上界がある。最大曲線について多くの研究者による発見や成果があり、様々な性質がわかっている。
前年度には自分も種数が小さい最大曲線について研究した。本年度は、そこで得られた代数曲線の性質や特徴を活かして、最大曲線でないSerre上界に達する代数曲線の発見を目指した。まず、探索したい代数曲線のJacobian分解を試みたが、楕円曲線に完全分解できなかった。そこで分解できたところで、コンピュータ探索を実施した。しかし、探索範囲を広げられなかったため、Serre上界に到達する代数曲線を見つけることができなかった。対象とした代数曲線の同型群が小さいため、今まで使っていたKani-Rosenの方法では限界があった。Jacobianの完全分解ができなかったことが失敗の理由と考えられる。次に、探索アルゴリズムを改良して、再度コンピュータ探索を実施した。結果として多数の有理点をもつ代数曲線を得たが、目標であるSerre上界に達する代数曲線を得ることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に研究した最大曲線の性質をヒントに、最大曲線でないSerre上界に達する代数曲線の発見を目標としたが、達成できていない。探索対象の代数曲線のJacobian分解が予想以上に難しく、そのため広い範囲の有限体上での探索が実施できなかったことが、遅れた理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Kani-Rosenと異なる方法でJacobian分解を試みる。もし完全分解できたら、広範囲のコンピュータ探索が可能となる。もし不可能ならば、探索対象の代数曲線の性質をさらに解明し、それにより探索アルゴリズムのさらなる効率化を進めることで解決を図りたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、参加を予定していた国際会議が延期となったため。
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