2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K05347
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千葉 周也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 講師 (80579764)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 2-因子 / ハミルトン閉路 / 点素な閉路 / 点素な道 / 次数条件 / 連結度条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.指定した成分数の2-因子に対する次数条件 (1)1997年のBrandtらによる「非隣接2頂点次数和条件」の結果を「独立点集合内の2頂点次数和条件」に改良することに成功した。特に、独立点集合のサイズが連結度と指定した成分数に依存すれば「区間交換論法」を利用することで、所望の性質をもつ閉路を構成できることを示した。また、本研究成果は国際会議EuroComb2017に採択され、Electr. Notes Discrete Math.(VOL.61, 2017)に掲載された。さらに、 (2)上記研究成果の証明法を利用することで、Brandtらの結果の結論を「指定した成分数のコード付き閉路」に拡張することにも成功した。 (3)指定した成分数とハミルトン閉路の差を明らかにするために、2000年代初頭から現在までにかけて発表されてきた「点素な閉路・道の存在性に対する次数条件」の結果をサーベイ論文としてまとめることで、定理の関係性を明らかにすることに成功した(Graphs Comb., 2018)。特に、(i) 指定した成分数の2-因子と葉数を制限した全域木、(ii) 有向ハミルトン閉路と指定した成分数、指定した端点をもつ道因子、(iii) 有向2-因子と二部グラフ上の2-因子、の関係性に注目することでこれまでの結果の意味や重要性を明確にした。 2.指定した成分数の2-因子に対する連結度条件 クローフリーグラフ上の指定した成分数の2-因子に対する連結度条件を与えるために、クローフリーグラフと非分離閉路の存在性について考察し、2012年のKaiser-Vranaによるハミルトン閉路に対する結果を拡張することに成功した。また、本研究成果を国際研究集会「Workshop on the Matthews-Sumner Conjecture and Related Problems」にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2つから本研究課題の目標達成に向けて順調に研究が進んでいると考えられる。
1.指定した成分数の2-因子に対する「独立点集合内の2頂点次数和条件」を与えたことで、29年度の研究計画である「点素な閉路とその隣接関係から見えるグラフの独立数と連結度」を概ね達成することができた。実際、本研究成果の証明法から、独立数と連結度および指定した成分数の“3つ”を考慮すると、これまでの研究で用いられてきた「区間交換論法」を利用できることが分かるので、他の類似問題解決への有効的なアプローチになり得る。特に、この事実はハミルトン閉路のみを考えている場合には現れなかった事実なので、本研究課題に対する新たな知見を見出したといえる。
2.現在までに発表されてきた点素な閉路・道の存在性に対する次数条件の結果をサーベイ論文としてまとめたことで、ハミルトン閉路と指定した成分数の2-因子の“現時点”における両者の差を明確にすることができた。この論文をもとに、2-因子に課す各制約ごとに現在までに用いられてきた証明の詳細な解析を行うことで、本研究課題を解決するための有効的な手段を得ることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2-因子に課す各制約ごとにハミルトン閉路の場合において用いられた証明の詳細な解析を行うことで、「区間交換論法」以外の有用な証明法を模索する。特に、29年度に行った「クローフリーグラフ上の指定した成分数の2-因子と非分離閉路の存在性」に注目することで、次数条件以外の十分条件についても考察し、別の角度からハミルトン閉路との差を明らかにしていく予定である。また、29年度中に得た研究成果のうち未発表のものに関しては、30年度中に論文としてまとめ挙げ、その結果を学術雑誌や国際会議を通して世に発信する予定である。さらに、学会・セミナー等に積極的に参加することで、他研究者と最新の研究情報の交換を行い、本研究課題の問題点・研究方針について議論をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
理由:29年度の研究進度を考慮して、当初購入を予定していた設備備品・消耗品を見送り、研究成果発表や他研究者との情報交換のための国内外旅費として優先的に使用したため。
使用計画:予定していた設備備品・消耗品の購入および(29年度と同様に)研究成果発表のための国内外旅費の一部として使用する予定である。
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