2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05349
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤沢 潤 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (00516099)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 3-連結3-正則グラフ / マッチング / ハミルトンサイクル / クローフリーグラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
以下に本年度の研究成果について列挙する。 1)次数列が3,3,3,1,1,1 であるグラフをnetと呼び、netにおける次数1の頂点を端点と呼ぶ。1993年にBroersmaは「頂点数がnの2-連結クローフリーグラフGにおいて、任意のinduced netのどの端点も次数が(n-2)/3以上であればGはハミルトンサイクル(=成分数1の2-因子)を持つ」と予想したが、その予想が肯定的に解決された。 2)グラフGとマッチングMに対して、Mを含むようなGの完全マッチングが存在する時、Mは拡張的(extendable)であるという。マッチングのextendabilityに関する研究は古くから行われており、多くの研究成果があるが、それらのほとんどは拡張する辺の本数が元となるグラフの不変量によって制限されている。一方、「Gがグラフの族Xに含まれるならば、ある定数dに対して、Gにおける距離がd以上離れたマッチングが拡張的となる」という性質を満たすグラフの族Xを求める研究が近年進展している。これは拡張する辺の本数に上限がないという点で既存のマッチング拡張の研究と一線を画す、新しい切り口での研究となっている。本研究では、閉曲面に埋め込まれた3-連結3-正則2部グラフが、その最大の面の大きさをdとすることで、上記のXに含まれることが示された。fullereneグラフ全体の族は上記のXに含まれないことが示されており、本研究で得られた成果はその対照的な結果となっているため興味深い。またその差異の本質的な起因は明らかではなく、今後の研究の進展につながり得る研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハミルトンサイクルの研究はグラフ理論における中心的話題であり、その中で20年来未解決だった予想が肯定的に解決されたという点で、上記1)の結果は重要な意味を持つ。また、上記2)の結果では閉曲面に埋め込み可能な3-連結3-正則2部グラフのマッチング拡張性が明らかになったが、これまでに得られていたfullereneグラフに関する知見やcyclic connectivityの高いグラフにおける知見と対照的な結果であり、興味深いとともに今後の研究の進展につながり得る成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は順調に進捗しており、次年度以降も本年度と同様のアプローチで研究を進める予定である。
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Research Products
(5 results)