2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05349
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤沢 潤 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (00516099)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 完全マッチング / マッチング拡張 / 三角形分割 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果について以下に列挙する。 1) グラフGにおいて、マッチングMを含むようなGの完全マッチングが存在する時、Mは(Gにおいて)拡張的であるという。グラフにおいてどのようなマッチングが拡張的となるかを調べる研究(マッチング拡張性の研究)は、様々なグラフに対して広く研究されてきた。いま、M={e_1, ... , e_m}とし、e_iとその両端点からなるグラフ(K_2と同型)をH_iとすると、MがGにおいて拡張的であることとGからH_1, H_2, ... , H_mを取り除いたグラフが完全マッチングを持つことは同値である。したがって、後者の命題において各H_iをK_2と同型なものに限らず、一般のグラフとすることで、マッチング拡張性の研究を一般化することができる。このような新しい視点のもと、本研究では閉曲面上の5-連結三角形分割における河原林-Plummer-小関の定理を一般化した定理が得られた。 2) あるグラフにおけるマッチングMは、含まれる2辺が互いに距離d以上離れている時、距離dマッチングと呼ばれる。また、グラフGに含まれるどの距離dマッチングも拡張的となるとき、Gは距離d-拡張的であると呼ばれる。距離2-拡張的なグラフの性質に関してはYuanらが2000年前後に多くの研究を行っているが、距離3-拡張的なグラフの性質はほとんど知られていない。本研究では、ある性質を満たす二つのグラフのカルテシアン積が距離3-拡張的となることと、辺の密度が小さい連結グラフは距離3-拡張的とならないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、既存のマッチング拡張性の研究を新しい方向へと進展させることができた。得られた手法は、閉曲面上のグラフの持つ性質と相性の良いものであるため、閉曲面上のグラフにおける他の因子問題への応用が期待される。加えて、これまで未知の領域であった距離3-拡張的グラフについていくつかの萌芽的な結果が得られ、この点についても今後の研究につながる成果となっている。前年度までの研究成果と合わせて、本研究は着実に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、本研究で得られた成果は今後の研究の進展を期待させるものであるため、他の研究者に広く周知させる必要があった。しかしながら、コロナウィルスの感染拡大の影響でいくつかの研究集会・学会が中止となり、発表の機会が得られなかった。そのため、本研究の研究期間を延長し、次年度の研究発表によって他研究者の持つ知見を本研究に取り入れたい。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響により、いくつかの学会・研究集会が中止となったため、次年度使用額が生じた。その使用額は、今年度に得られた研究成果の次年度における発表のための費用に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)