2019 Fiscal Year Research-status Report
実数の特異部分集合と関数空間の局所的性質に関するScheepers予想の総合研究
Project/Area Number |
17K05352
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
酒井 政美 神奈川大学, 理学部, 教授 (60215598)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Scheepers予想 / 関数空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
Tychonoff位相空間Xから2点離散空間への連続写像全体に各点収束位相を入れた関数空間をCp(X,2)であらわす。実数の特異部分集合の一つであるMenger空間について、次の結果(1)(2)を得た。ここで位相空間がMengerであるとは、任意の開被覆の列に対して、各開被覆から有限部分集合が取れて、その有限部分集合の和がXの被覆になっているということである。例えば、無理数空間はMengerではない。
(1) 零次元空間 X, Y に対して、それぞれの導集合X', Y'はコンパクト距離空間であるとする。このとき、Cp(X,2)xCp(Y,2) がMengerになるための必要十分条件は、商空間の積空間(X/X')x(Y/Y')がcountable fan tightness for finite setsを満たすことである。(2) 零次元一般順序空間 X, Y に対して、Cp(X,2)xCp(Y,2) がMengerになるための必要十分条件は、Cp(X,2)xCp(Y,2) がLindelofであり、導集合X', Y'が可算コンパクトになることである。
これらの結果は、Bernal-SantosとTamariz-Mascaruaの論文「The Menger property on Cp(X,2), Topl. Appl.183 (2015), 110--126」で与えられた結果を改良したものになっている。(1)と(2)は2つの空間の場合だけでなく一般に有限積の場合にも成り立つ。また、Menger性を研究する過程でCp(X,2)がprojectively Mengerになる特徴づけや、Menger性に近い他の被覆性質であるHurewicz性やRothberger性についても研究している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Scheepers予想の解決には関数空間Cp(X), Cp(X,2)等の位相的性質の研究、また位相空間の開被覆に関する位相的性質の研究など周辺分野の研究が必要であり、研究実績の概要で述べたようなことが相当する。またScheepers予想の解決に関連して、Menger性が関数空間が線形同相のときに保存されるかという問題は未解決であるが、これについては、局所的な性質(例えば第1可算公理)を仮定すれば肯定的であることを得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べたように、Menger性が関数空間が線形同相のときに保存されるかという未解決問題については、局所的な性質(例えば第1可算公理)を仮定して肯定解を得ている。今後はこの局所的な性質が外せるかどうかの研究を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
海外出張が招待であったため宿泊費が免除されたこと、また物品費について書籍購入の必要性がなくなり使用しなかったことによる。次年度使用額については書籍の購入費に充てたい。
|