2020 Fiscal Year Research-status Report
実数の特異部分集合と関数空間の局所的性質に関するScheepers予想の総合研究
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17K05352
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
酒井 政美 神奈川大学, 理学部, 教授 (60215598)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Scheepers予想 / 関数空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
位相空間Xに対してCp(X)をX上の連続関数全体に各点収束位相を入れた関数空間とする。位相空間XとYに対してCp(X)とCp(Y)が線形位相空間として同型であるとき、XとYはl-同値であるといわれる。一般に位相空間XとYが位相同型でなくてもl-同値であれば、Xのある種の位相的性質はYに移ることが知られている。例えば位相空間のコンパクト性、Lindelof性や次元はそのような性質であることが知られている。研究目的に関連するl-同値に関する大きな未解決問題としては、Hurewiczにより1920年代に与えられた被覆性質であるMenger propertyがl-同値であるかという問題がある。この問題は現在までのところ集合論の公理を仮定したいくつかの結果があるが未解決である。研究実績として集合論の公理を仮定せずに次の結果が成り立つことを証明した。
定理. 位相空間XとYがl-同値で第一可算公理を満たすとする。このときXがMenger propertyをもてばYもMenger propertyをもつ。特に距離空間の範囲でMenger propertyはl-同値である。
この定理の証明には第一可算公理を満たす位相空間の範囲ではLindelof性がl-同値となるというBaarsとGrootの証明法を参考にした。 Menger propertyと密接に関連する被覆性質として,やはりHurewiczにより導入されたHurewicz propertyがあるが、この性質に関しては一般の位相空間の範囲でl-同値な性質であることがZdomskyyにより証明されているので、Zdomskyyの証明法を詳細に研究することが今後の研究の一つの方向となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの影響で国内外の出張が制限され他の研究者と直接意見交換ができないため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が研究の最終年度であるため、これまでの研究成果を振り返り、計画通りに進んでいない部分、例えば実数の特異部分集合についての研究などに注力したい。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で国内外の出張に予定していた旅費の支出がなかったため。次年度は研究成果を取りまとめた論文を作成し、国際会議で発表をする際の旅費等に使用する予定である。
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