2017 Fiscal Year Research-status Report
不均質性をもつ非線形反応拡散系への変分法的アプローチによる数理解析
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17K05355
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
寺本 敬 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (40382543)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 応用数学 / 反応拡散方程式系 / 変分法 |
Outline of Annual Research Achievements |
不均質媒体(ヘテロ環境)における空間局在解、特にヘテロ環境に特有なデフェクト解について、変分法的アプローチから、解の存在、安定性、分岐を明らかにする。平成29年度は、特に3変数双安定型の反応拡散方程式系についての作用汎関数をヘテロ環境に拡張し、特異摂動論から構成したデフェクトパルス解の形状を用いて汎関数の第1変分、第2変分とを具体的に評価した。ヘテロ環境ではパルス幅に加えて、パルス位置(ジャンプからの距離)を高次項の計算から求める必要がある。成果を海外共同研究者らとの欧文共著論文としてまとめ、現在、投稿中である。2変数双安定型の反応拡散方程式系の空間局在解(パルス解)の複雑な運動を、パルス形状を構成する2つのフロント解の運動に分解し、その界面位置での運動に縮約する方程式を導出した。多重時間スケール法を用い、フロント解同士の相互作用を高次項まで含めて扱うことができた。この縮約方程式を、ヘテロ環境における空間局在解の運動の問題に適用し、振動解を含む複雑なダイナミクスを詳細に解析した。成果を国内共同研究者らとの欧文共著論文としてまとめ、現在、投稿中である。8月には、台湾からの海外研究者を旭川に招き、反応拡散系理論に関する研究集会を開催し、9月には、日本数学会2017年度秋季総合分科会において成果を口頭発表した。11月には台湾の国立清華大学での研究集会で招待講演し、海外共同研究者らとの継続的な議論、および国際的なネットワークを深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2編の投稿中の論文があり、SIAM 国際研究集会のミニシンポジウムでの研究発表も予定している。また国際研究集会の開催計画も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿中の論文を公刊して国際的にアピールし、国内外の連携形研究者らとの共同研究を加速する。平成30年度には、海外共同研究者らを招いて国際研究集会を開催し、海外共同研究者らと直接会って議論する機会を継続する。曲面上を含め、異なるヘテロ環境でのデフェクト解の存在と安定性、また空間局在解とデフェクト解との相互作用、およびそのダイナミクスを記述する運動方程式の導出を目指している。
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Causes of Carryover |
平成30年度には、 SIAM 国際研究集会でのミニシンポジウムへの参加、講演依頼があり、また、海外共同研究者を招いた国際研究集会を計画している。それらを含めた今後の研究集会の企画、参加の為、次年度以降への使用額が生じた。
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