2018 Fiscal Year Research-status Report
不均質性をもつ非線形反応拡散系への変分法的アプローチによる数理解析
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17K05355
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
寺本 敬 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (40382543)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 変分法 / 分岐解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、ジャンプ型の不均質性を持つ3変数 FitzHugh-Nagumo 型反応拡散系のデフェクト解に関する結果をまとめ、「Pinned solutions in a heterogeneous three-component FitzHugh-Nagumo model」として、 Journal of Dynamics and Differential Equations に英文論文として公刊した。オンライン刊行のみであった一様系の論文についてもページ数が確定した。パルス幅は、先行研究で得られた主要項の計算を利用できたが、不均質場でのジャンプ位置からの距離はデフェクト解の高次項の計算が新たに必要であった。それを成し遂げ、αβ<0 の場合な複雑な分岐構造を数理解析、数値解析の両面から明らかにした。6月にはアナハイムで開催された SIAM Conference on Nonliner Waves and Coherent Structures (NWCS18)においてミニシンポジウム講演を行った。また、海外共同研究者らとの国際研究集会「Second Joint Australia-Japan workshop on dynamical systems with applications in life science」を北海道美瑛で開催して9人の海外研究者を招待し、オーストラリア、台湾、日本を中心とする継続的な国際ネットワークの強化に取り組んだ。さらに、バンプ型の不均質性を持つ場合のデフェクト解を構成してプロシーディングス論文として投稿した。これは、先行研究における数値計算からの予想を正す結果として重要である。また特異摂動論の国内研究者らと、進行解、振動解等の動的な空間局在解が出現する場合のパルス解挙動を表す縮約方程式の導出と、その不均質場におけるダイナミクスについての結果を論文としてまとめて投稿中である。この論文で確立したハイブリッド系(界面の運動方程式と偏微分方程式の混合系)の手法を、3変数反応拡散系に適用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度中にジャンプ型不均質場でのデフェクト解の論文をオンライン公開することができた。一様系での局在解の論文に続いて、本研究主題である変分法的アプローチに関する2報目を達成した。バンプ型についての結果を追加することもできた。また、第2回 Joint Australia-Japan workshop を地元の北海道で開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿中英文論文を公刊し、国際共同研究発表、また海外共同研究者らとの国際研究集会の継続的な開催を目指す。また、これまでは時定数が小さい場合の定常局在解の問題を扱ってきたが、今後は進行解、振動解等、動的な局在解が出現する時定数が大きい場合について、特異摂動と変分法を組み合わせたアプローチによって取り組む。
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Causes of Carryover |
平成31年度は、国際研究集会でのミニシンポジウムの企画講演、招待講演があり、その為の旅費が必要となるため、平成30年度分の費用を繰り越した。平成30年度に開催した国際研究集会では、共同主催者が招待講演者の旅費の大半を支弁された為、本研究主題においては当該年度の支出を抑えることができた。
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