2020 Fiscal Year Research-status Report
不均質性をもつ非線形反応拡散系への変分法的アプローチによる数理解析
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17K05355
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
寺本 敬 旭川医科大学, 医学部, 教授 (40382543)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 変分法 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
不均質媒体(ヘテロ環境)における空間局在解、特にヘテロ環境に特有な定常デフェクト解について、変分法的アプローチから、解の存在と安定性、分岐を数理的に明らかにしてきた。オーストラリア、台湾の海外共同研究者らと連携し、数学的に設定する問題の実在性と有用性を数値的に確認しながら相補的に取り組んだ。具体的には FitzHugh-Nagumo 型の反応拡散系について作用汎関数を構成し、幾何学的摂動論から得られた解の形状を用いて汎関数を評価する。ジャンプ型不均質媒体において、ジャンプ点近傍の局所的デフェクト解と、ジャンプ点からO(1)の距離を持つ大域的デフェクト解を区別し、それぞれについて解を構成して、存在と安定性を理論解析と数値解析の両方から詳細に明らかにした。また、この変分法的アプローチを進行座標系での問題に適用し、特に、多重連結進行パルス解の発見と、その数理解析の結果は今後の展開が期待されている。
ジャンプ型不均質媒体におけるデフェクト解の存在と安定性の結果を欧文誌 Journal of Dynamics and Differential Equations から、進行パルス解についての結果をSIAM Journal on Applied Dynamical Systems から、それぞれ公刊した。また日本数学会、米国応用数学会においてもそれぞれ口頭発表した。関連する欧文論文は 4 報、学会発表(招待講演を含む)は 8 件である。加えて、海外共同研究者らと日豪共同研究集会を双方の国で開催し、国際連携の推進も積極的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジャンプ型不均質媒体におけるデフェクト解の存在と安定性の結果を、2019 年に欧文誌 Journal of Dynamics and Differential Equations から、バンプ型不均質媒体についての結果を 2020 年に欧文誌 Advances Studies in Pure Mathematics からそれぞれ刊行した。進行パルス解についての結果も 2021 年に欧文誌 SIAM Journal on Applied Dynamical Systems から公刊した。特に、多重連結進行パルス解の発見と、その数理解析の結果は今後の展開が期待される。海外共同研究者らと日豪共同研究集会を双方の国で開催し、国際連携の推進も積極的に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はコロナ禍により、多くの学会、出張が取り消しとなった。延長された研究期間で国内研究集会等での成果発表の機会を探りながら、進行パルス解、空間高次元での問題について、変分法的アプローチを展開していく。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍のため、学会の延期、オンラインへの変更等で研究計画が大きく変わることとなった。年度末まで国内出張の機会を検討していたが間に合わず、その旅費分を次年度へ繰り越し、研究期間を延長することとなった。
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Research Products
(6 results)