2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05359
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中野 張 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (00452409)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Zakai方程式 / カーネル選点法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,部分観測確率制御問題とハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式の逆問題の数値解法として用いるカーネル選点法の理論的研究を行った.この中で,研究代表者自身が過去に明らかにした,再生核による補間作用素のノルムが近似パラメータに関して有界になるための十分条件について,さらに研究を進め,状態空間が多次元の場合でも検証し易いように,補間行列の逆行列の漸近挙動によってこの十分条件を特徴付けた.これにより多次元の問題についても数値実験を可能することができた.この成果は本研究課題解決のための理論的基盤を与えるものである.実際,本研究課題では,連続時間確率制御理論において未解決の同定問題のうち,確率最適制御理論における逆問題,部分観測確率制御問題の数値解析,の2つに取り組み,それぞれについて,一般のモデルに対して実装可能なアルゴリズムの開発および数学的に厳密な収束証明の達成を目的としている.本研究目的の達成により,非線形確率システム同定・制御の実用化に必要な部分の数値計算手法が初めて提供されることになり,広範囲の応用分野の発展が期待できる.本年度得た,補間作用素の安定性により,連続時間確率制御問題を特徴付けるハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式に対するカーネル選点法の収束,および拡散過程に対する部分観測問題を特徴付けるZakai方程式に対するカーネル選点法の収束について厳密に証明することが出来た.前者は確率最適制御理論における逆問題の解決に大きく寄与し,後者は部分観測確率制御問題の解決に結びつくことが期待できるものである.以上の成果を現在2編の論文として学術雑誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では,本年度にハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式に対する逆問題の研究を開始し,そこで明らかになった改善点を念頭にカーネル選点法の理論的および数値的両面からの改善に取り組む予定であった.
しかし,本年度初め頃に,研究課題のもう一つの柱である部分観測確率制御問題の解決法について有望な着想が生まれたため,これに適用することを念頭にカーネル選点法の研究を進めることとなった.
取り組む小課題の順序が変わったが,基盤となるカーネル選点法の理論的整備は進んだため,研究計画全体としては順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度整備したカーネル選点法を基に,まずは部分観測確率制御問題に取り組み,その後,ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式の逆問題の研究に着手する.【現在までの進捗状況】に記載したように,取り組む小課題の順序が変わったものの,今後の研究の推進方策は基本的には研究計画通りである.
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