2018 Fiscal Year Research-status Report
曲率によって動く曲線・曲面に対する数値計算アルゴリズムとその正則性・特異性
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17K05364
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (40232227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高坂 良史 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (00360967)
内藤 雄基 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (10231458)
上田 好寛 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (50534856)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 平均曲率流 / 近似アルゴリズム / 表面拡散方程式 / 非線形放物型方程式 / 非線形楕円型方程式 / 双曲型方程式系 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者の石井は移流項や外力項をもつ平均曲率流に対する閾値型近似アルゴリズムについて研究した。既に昨年度に閾値型近似アルゴリズムの収束やその最良誤差評価については等高面の方法や粘性解理論等を用いて証明したが、今年度は最良誤差評価の導出に関して改良し、以前のものと比べて容易、かつ見通しのよい証明を与えた。また、3 次元空間における曲線の曲率流に対して閾値型近似アルゴリズムを導入し、その収束について研究している。 分担者の内藤は優 Sobolev 臨界増大非線形項をもつ非線形楕円型および放物型偏微分方程式の特異解について考察を行った。非線形楕円型方程式の Dirichlet 問題に対して、特異解の一意存在および有界な解の特異解への収束を示した。さらに、安定最小解の臨界として定義される極解が、特異解であるための必要十分条件を導いた。非線形熱方程式に対して、特異定常解よりも大きい爆発形状を持つ不完全爆発解の構成を行った。 分担者の高坂は面積保存型曲率流方程式と表面拡散方程式による曲線の挙動について研究し、それらの方程式に対する進行波解の存在を明らかにした。具体的には、それぞれの方程式に対応する進行波解のプロファイル方程式を導出し、それを shooting 法で解析することで、進行波解の存在とその形状に関する結果を得た。特に、表面拡散方程式に対しては、減衰振動する形状をもつ進行波解の存在を数学的に明らかにした。 分担者の上田は緩和項を持つ双曲型方程式系の安定性解析に着目し、研究を行なった。本研究では、方程式系の係数行列にある条件を仮定することで安定性を示すことが最大の目標であるが、その必要十分条件の導出に成功している。さらに対象の方程式系がこの条件を満たす際に解の詳細な減衰評価を得られるかについて解析を行っており、部分的な結果を導くことにも成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
余次元の高い平均曲率流に対する閾値型近似アルゴリズムについては、空間曲線の場合を研究している。昨年度には形式的な計算によって、この近似アルゴリズムから空間曲線に対する曲率流方程式を導出している。現在はその数学的な正当化について研究している。そのために初期曲線の近くでの熱方程式の解に対する詳しい漸近挙動を知る必要があり、その計算を行っているが、石井が予想していた以上に高い精度の計算が必要であると判明した。そのため、熱方程式の解に対する漸近挙動を完全に把握できていないことにより、研究が思うように進展していない。より一般の余次元の高い平均曲率流の場合については、まだ形式的な考察を行っている段階である。 表面拡散流や Willmore 流に関する閾値型近似アルゴリズムについては、その収束を考える上で関連している論文等を収集しながら、検討している。特に半線形放物型偏微分方程式を用いた表面拡散流や Willmore 流の近似において変分構造や保存則を用いたものについて資料を集め、検討している。 閾値型近似アルゴリズムで構成される平均曲率流の弱解の正則性や特異性については単調公式や Bochner 公式等を応用して研究するために半線形熱方程式の解に対する爆発解析や調和写像熱流に対する正則性評価に関する資料を収集・検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
余次元の高い平均曲率流に対する閾値型近似アルゴリズムについては、空間曲線の場合には、初期曲線の近くでの熱方程式の解に対する漸近挙動をできるだけ精密な形で求める。それができれば、特殊解を利用することで証明できることは予想できているので、その方針に沿って収束の証明を進めていく。証明をする上で現れる困難な点に関しては、その都度、論文等を収集・検討しながら解決していく。より一般の余次元の高い平均曲率流の場合に関しては、形式的な考察を進めていき、ある程度見通しが立ったら数学的な収束の証明を研究する。 表面拡散流や Willmore 流に関する閾値型近似アルゴリズムについては、有限要素法や半線形反応拡散方程式を用いた近似問題の収束の証明を参考にしながら、関数解析的な方法や、変分構造や体積保存性をうまく用いながら、収束の証明を考察する。 閾値型近似アルゴリズムで構成される平均曲率流の弱解の正則性・特異性については、 非線形偏微分方程式の解に対する正則性評価に加えて、単調公式や Bochner 公式等を応用することで弱解の正則性を調べる。解の特異性の解析については非線形偏微分方程式に対する爆発解析や単調公式等を応用して、その特異性の程度を調べ、特異点の周りでの曲面の形状を調べる。
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Causes of Carryover |
出張旅費の計算で清算前と清算後で誤差が生じたため。2019 年度分の助成金と合わせて国内出張旅費に使う予定である。
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Research Products
(43 results)