2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of functional equations describing dynamics of infectious disease
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17K05365
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 徹 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20260664)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 応用数学 / 解析学 / 関数方程式 / 数理生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度研究した,齢構造を含む病原体ダイナミクスの研究をまとめた論文は, 改訂作業を行なった結果,Journal of Applied Mathematics and Computing 59 (2019) に掲載された. 齢構造を含む,病原体ダイナミクスモデルに対する前年度の結果を用いて,更にウイルスが複数株存在する状況を記述する数理モデルの解析を行なった. 齢構造を持つので, 昨年度の研究と同じようにリアプノフ関数を構成しても すぐに安定性が証明出来る訳ではなく.アトラクタを用いた議論を精密に行なう必要もあるが, 更に株が複数存在する数理モデルにおいては, 平衡点がたくさん存在し, 議論も非常に複雑になる. この点を克服し,この数理モデルに対して, 株の基本生産数に対応する量が大きい株が幾つか存在するような平衡点が大域漸近安定である事を証明した. 空間拡散を考慮したウイルスダイナミクスの研究では,Nowak and Bangham の基本モデル (未感染細胞,感染細胞,ウイルスの相互作用を記述した数理モデル) に液性免疫や細胞性免疫の変数を追加したモデルの解析を行なった. 昨年度の研究では液性免疫変数または細胞性免疫変数の一方を取り入れたモデルの解析においては,基本モデルの解析では現れなかった問題点が見つかったが, この点を解決した. 更に, 空間拡散モデルで複数のウイルス株を考慮した数理モデルの解析に対する準備がある程度整った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
齢構造を含む病原体ダイナミクスの研究をまとめた論文が, 改訂作業を行なった結果,Journal of Applied Mathematics and Computing 59 (2019) に掲載された. 齢構造を含み,更にウイルスが複数株存在する状況を記述する数理モデルの解析においては, 平衡点がたくさん存在し, 議論が非常に複雑になる点を克服し,それぞれの株の基本生産数に対応する量が大きい株が幾つか存在するような平衡点が大域漸近安定である事を証明した. 空間拡散を考慮したウイルスダイナミクスの研究では,液性免疫変数または細胞性免疫変数の一方を取り入れたモデルの解析における問題点を解決し, 更に, 空間拡散モデルで複数のウイルス株を考慮した数理モデルの解析に関する準備がある程度整った.
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Strategy for Future Research Activity |
空間拡散を考慮したウイルスダイナミクスの研究において,複数のウイルス株を考慮した数理モデルの解析に関する準備がある程度整ったので,これを進めていく.複数株を扱う数理モデルでは,それぞれの株に反応する免疫の強さを表わす変数を陽に取り入れた数理モデルの場合,免疫反応項の形によっては,平衡点がたくさん表われて,式の記述が煩雑になる.この点を慎重に扱う必要があるであろう. ウイルスダイナミクスの数理モデルにおいて,病原体が細胞に吸収される効果や,免疫の効果,時間遅れの効果は,それぞれ平衡点の不安定化を引き起こしうるが,その状況の系統的な解析を行なう予定である.最初に,C プログラムや Mathematica による数値実験により,状況の把握を行ない,後に数理的な解析を行なう.
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Causes of Carryover |
研究がほぼ目標どおりに進展したので,次年度の研究に活用しようと考えたから.
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Research Products
(2 results)