2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on fixed point problems in metric spaces with geodesic structure and its applications
Project/Area Number |
17K05372
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高阪 史明 東海大学, 理学部, 教授 (20434003)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 測地距離空間 / CAT(0)空間 / CAT(1)空間 / 凸関数 / 不動点 / ヒルベルト球面 / レゾルベント / アダマール空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
任意の2点を結ぶ測地線がただ一つ定まる距離空間で、任意の測地三角形の中線の長さがユークリッド平面内の比較三角形の中線の長さ以下となるものをCAT(0)空間といい、距離空間としての完備性を備えたCAT(0)空間をアダマール空間という。このような空間はヒルベルト空間の空でない閉凸集合、ヒルベルト空間の開単位球に双曲距離を入れた空間、完備なR-tree、アダマール多様体の一般化である。 アダマール空間においては、ヒルベルト空間における中線定理が不等式の形で成り立つ。この不等式はCN不等式とよばれ、アダマール空間の幾何学的構造を特徴付ける重要な不等式である。ヒルベルト空間における非線形問題を研究する上で大切な距離射影や非拡大写像の性質の多くがこの不等式を用いることによって、アダマール空間に一般化される。 本年度の研究においては、アダマール空間におけるmetrically nonspreading写像についての不動点の存在性および不動点の近似法の研究を行い、アダマール空間における値域条件を満たす単調写像の零点問題への応用研究を行った。この写像概念は、2008年にKohsaka-Takahashiが滑らかで狭義凸な回帰的バナッハ空間において導入したnonspreading写像の概念と関係するものである。 今回得られた成果により、線形構造の無いアダマール空間においても、不動点の存在定理、不動点近似定理、写像のチェザロ平均の漸近挙動などに関する諸問題について一定の成果を挙げることができた。 また、国内外で行われた国際会議において、測地距離空間と凸距離空間の関係、測地距離空間における不動点問題、バナッハ空間における不動点問題とその応用に関してこれまでに得られた一連の研究成果を報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アダマール空間における不動点定理や不動点近似定理の研究が進展し、このような空間の双対空間を用いた単調写像の概念との関係性についての一定の成果も得られ、測地距離空間における種々の変分問題への応用研究を行う方向性が見えたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、完備なCAT(k)空間における凸最小化問題、単調作用素の零点問題、均衡問題などの研究を行い、解の存在性、解へ収束する近似列の構成方法、解集合の幾何的性質の究明を行う。
|
Causes of Carryover |
旅費と物品費の支出額を当初の計画よりも減額することができたため。
|
Remarks |
これまでの研究成果を掲載している。
|