2021 Fiscal Year Annual Research Report
Deepening and application of Sobolev inequality studies using reproducing kernel theory
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17K05374
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武村 一雄 日本大学, 理工学部, 准教授 (60367216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀高 惟倫 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (00047218)
山岸 弘幸 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (10448053)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グリーン行列 / ソボレフ不等式 / 最良定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題最終年度にあたる令和3年度の主な研究成果は,糸のたわみ問題に対応する重み付きソボレフ不等式を導出し,その最良定数を求めたことである。これまで当該研究課題において求められてきたソボレフ不等式の最良評価(最良定数,最良関数計算)は,局所的な境界条件をもつ微分方程式に対するグリーン関数を利用することで求められた。本年度は,ソボレフ不等式の背景にある微分方程式の境界条件に非局所な周期境界条件を課すことで,重み付けされたソボレフ不等式を導出することができた。現在,本研究成果を足がかりにして,高階微分作用素に対応する重み付けされたソボレフ不等式の最良評価に拡張された問題を考え,一定の成果を得ている。 「L^p型ソボレフ不等式の最良評価への拡張」,「C60フラーレンに対応するソボレフ不等式」や「各種グラフ上の離散ソボレフ不等式」の最良評価を求めるなど,研究期間全体を通じて交付申請書に記載された研究実施計画はほぼ実現できた。特に,「C60フラーレンに対応するソボレフ不等式」については,炭素原子を頂点とみなした多面体に対する離散ソボレフ不等式の最良定数を求めた。こうして得られた最良定数を利用し,異性体それぞれに応じた値を実際に計算することで,最も硬い異性体を求めることができた。本研究成果は,離散ソボレフ不等式が物質の特徴付けに貢献することができた事例として挙げられ,その意義は大きいと考えている。今後は,カーボンナノチューブやキラル炭素ネットワークなどの新たな物質への特徴付けも行いたい。
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