2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K05378
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
高石 武史 武蔵野大学, 工学部, 教授 (00268666)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水素脆化 / フェーズフィールド / 数理モデル / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に作成した、板面に水平な変位を与えるモードI, IIき裂進展のシミュレーションコードを用い、水素原子の拡散に伴う材質の脆化とき裂進展速度の関係について調べた。開口モードのき裂進展の過程における水素濃度分布の変化を、き裂面に沿って水素原子が拡散する場合についてフェーズフィールドを用いた水素脆化き裂進展モデルを用いて数値シミュレーションで調べた結果、拡散した水素がき裂先端の靭性を下げることにより、より小さな境界変位によりき裂進展が引き起こされる様子が再現された。また、水素の拡散係数の大きさと、き裂領域と材料領域の拡散係数の比とのバランスにより、き裂先端近傍に水素原子濃度が局所的に高い領域が現れる場合があることがわかった。この場合にはき裂進展が開始するとこの高濃度領域を追い越すようにき裂が進展することがわかった。さらに、き裂領域での水素原子拡散を非常に速くすると局所的な高濃度領域は現れず、き裂から供給された水素原子が常にき裂先端へ溜まっている状態でき裂進展が起きることがわかった。一方、初期き裂先端の斜め前方に開けた穴からのみ水素を拡散させた場合には、水素拡散による脆化により穴からき裂が発生し、初期き裂へ連結する形でき裂が進展する場合があることがわかった。 さらに、次年度における3次元数値シミュレーションでの大規模数値計算のために、既に開発済みの FreeFem++ 用3次元フェーズフィールドき裂進展シミュレーションコードを水素脆化対応コードに書き直し、実際に計算できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元開口モードの数値シミュレーションによる水素脆化き裂進展の検証と、き裂面における拡散条件の検討はほぼ実施できた。 モデルの数理構造の解明の検討として平衡状態でのき裂断面の方程式を導出したが、そこから得られるき裂断面解から水素濃度分布の解明はまだ半ばである。 3次元数値シミュレーションコードの開発として、既に開発した FreeFem++ 用3次元フェーズフィールドき裂進展シミュレーションコードを水素脆化対応コードに書き直す作業は、予定より早くほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元材質におけるき裂進展に注目し、水素拡散に伴う材質の脆化とき裂進展速度およびき裂形状の関係を解明する。 3次元数値シミュレーションコードの開発とフェーズフィールドモデルを用いた数値シミュレーションによる、3次元水素脆化き裂進展の検証を行う。それとともに平成30年度に始めたモデルの数理構造の解明を進める。 具体的には、前年度に得られた2次元シミュレーションの結果を参考に、3次元フェーズフィールドき裂進展シミュレーションコードの水素脆化き裂進展を検証する。また、上記3次元コードを用いてシミュレーションを行い、適切なデータの可視化を行いながら、3次元き裂進展におけるき裂先端近傍での水素原子濃度分布とき裂進展の関係を調べる。そして、そこから得られる知見をフィードバックしながらモデルを修正していく。
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Causes of Carryover |
3次元シミュレーションデータを処理するために、本年度分から40,760円を次年度に繰り越して、次年度に本年度購入のデータ解析用PCのCPU追加を行うこととした。
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Research Products
(3 results)