2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05380
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 秀之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60447357)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 第一世代星 / 超巨大星 / 超巨大ブラックホール / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、Takahashi, Yoshida, Umeda (2018, ApJ)の論文では回転する第一世代星のうち、質量が大量の200倍程度でペア不安定型超新星となるものの恒星進化と爆発および元素合成の計算を行った。これによって第一世代星の中に含まれていると一般に考えられているが、その証拠が未だに見つかっていないペア不安定型超新星の性質や親星の回転の効果を明らかにした。本科研費の研究課題の主目的はもっと重い1万~数十万太陽質量星の進化と運命であるが、それらの計算結果の信頼性をあげるためにも、他の研究グループでも類似の計算が行われているペア不安定型超新星の親星計算を行ったことは、比較という観点においても意義のあることであると考えている。 Takahashi他(2019, ApJ)の論文では電子捕獲型超新星の親星進化計算とともに流体力学的な爆発計算も行い、電子捕獲型超新星の爆発初期の様子を詳しく計算し、そのような爆発が実際に起きることを、他の研究グループの計算とは独立に示した。ここで用いた計算コードは1次元の一般相対論的な流体力学を計算するものであるが、オリジナルなコードに原子核反応ネットワークを新たに組み込んだもので、本科研費の研究課題で行う重力崩壊計算を実行できるものである。 Zaizen, Yoshida, Sumiyoshi, Umeda (2018, PhRvD)の論文ではブラックホールを形成するような大質量星の重力崩壊に伴うニュートリに対する集団効果を含むニュートリ振動計算を行った。この計算の成功を踏まえて、本研究課題における超大質量星の崩壊計算時にも、大量に放出されるニュートリノの振動計算を行うという着想を新たに得ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要であらわしたように、本研究課題で行う超大質量星の重力崩壊で用いる1次元の流体力学コードは核反応ネットワークの組み込みも完成しており、テスト計算も実行済みである。これによって、以前に計算した重力崩壊直前のモデルを用いた計算は可能であるが、新たな親星モデルを計算するコードは依然開発中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、以前に計算した親星のモデルを用いて超大質量星の重力崩壊計算を行う。これによって、重力崩壊時に核燃焼が及ぼす影響を明らかにする。同時に、重力崩壊に伴い超大質量星から放出されるニュートリノの光度曲線並びに、スペクトルに及ぼすニュートリノ振動の効果計算も行う。これによって、超大質量星からのニュートリノ放出が今後観測が期待される宇宙背景ニュートリノに一定の効果を及ぼすのかどうかを明らかにする。 また、当初の計画通りに、超大質量星の親星モデルのサンプル数を増やすために、高速計算が可能なコードの開発と計算の実行を行う。同時に、5.5万太陽質量程度の星が核反応によって爆発するという先行研究の検証を目的の一つとした、一定質量の巨大星の進化計算もおこなっていく。
|
Causes of Carryover |
現在まだ親星進化計算コードが開発中であることや、流体力学計算の本計算の準備中であったため、 高速計算機の購入を2019年度に延期したため。今年度は主として計算機の購入、研究発表および研究打ち合わせの ための旅費、共同研究者への旅費および謝金、また論文掲載料として使用する計画である。
|