2020 Fiscal Year Research-status Report
強輝線天体の大規模探査による大質量銀河の星形成終焉の物理メカニズムの解明
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17K05386
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鍛冶澤 賢 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (60535334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 銀河進化 / 可視光近赤外線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
COSMOS領域のすばる望遠鏡/Suprime-Camおよび可視中帯域フィルターを含む他波長データセットを用いたSED解析を用いて、急に星形成率が増加した銀河、逆急速に減少した銀河をピックアップする手法を開発した。その方法でピックアップした星形成が最近急激に減衰した銀河の3次元形状や空海分解された色分布、天球面上での空間分布のクラスタリング等を調べ、急激に減衰した段階では厚みのある楕円体形状を持つこと、星質量に依らず銀河の外側ほど急激に星形成が減衰すること、またそのような銀河は大規模構造に付随していて強いクラスタリングを示すことがわかった。また、この手法で選択したバースト的な星形成を持つ銀河の形態の詳細解析を進めて、その星形成活動の原因を調べた。 高赤方偏移の高密度環境における銀河進化を調べるために、z~2.4の53W002原始銀河団の可視近赤外線撮像データを用いたSED解析をさらに進め、一般領域で同様にピックアップした銀河サンプルと比較して星質量が大きく赤い色を示す銀河の有意な密度超過があること、またその分布はもともと見つかっていたライマンα輝線銀河がなす構造と星形成活動に依存する形で関係していることがわかった。また、これらの成果の論文化の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響によって予定していた研究会や学会への参加を一部中止した。また、新型コロナウイルスの感染対策の直接的な影響と、所属機関における感染対策を計画・準備・実施する業務によって予定していた研究が実施できずに遅れが生じた。昨年度取得した観測データの解析や、これまでの成果の論文執筆等については次年度に先送りせざるを得ず、研究期間の延長を申請させていただいた。感染対策下での研究環境の整備も進んだので、次年度には予定の研究を遂行できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に取得した中帯域フィルターを用いて発見した高赤方偏移の大質量強ライマンα輝線銀河の可視分光データを解析し、ライマンα輝線の速度プロファイルから星形成が終わりつつある大質量銀河におけるガスの運動状態を調べる。バースト的な星形成を持つ銀河の性質についてこれまで得られた結果については論文化を進める。53W002原始銀河団における銀河の性質について得られた結果についても論文執筆を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で予定していた研究会・学会への参加がキャンセルとなり、出張経費の支出が行われなかった。また、感染対策等により研究進捗に遅れが生じたことで、論文出版費の支出も次年度に先送りとなった。
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