2021 Fiscal Year Research-status Report
星形成領域、晩期型星星周領域における磁場の役割の研究
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17K05388
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新永 浩子 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (20709589)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 星間磁場 / 偏波観測 / 星間物理 / 電波天文学 / 晩期型星星周領域 / 分光観測 / 連続波観測 / 赤外線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
星形成分野では、おうし座分子雲コア L1521Fの高感度偏波データ(JCMTでサブミリ波帯2バンドで取得)をALMAの偏波観測の結果と比較し、分子コア内での磁場を含んだ星形成プロセスの新たな描像を提案する。ALMAのミリ波帯の観測では偏波は検出されなかったが、これは、1500AU程度のスケールでは磁場構造が複雑だったことが原因ではないかと考えられる。さらに、2つのサブミリ波長帯で観測された磁場のmorphologyと、resistive MHDシミュレーションの結果と比較することにより、原始星を産む分子雲コアが初期に持っていた磁場の軸と角運動量の軸のミスアラインメントの観点から、過去の一連の研究から謎の多いと認識されてきた、この分子雲コアが、周囲の大局的磁場を巻き込みながら、原始星が誕生した様子を初めて明らかにすることに成功した。
VY CMa星については、Jansky VLAのSiO多輝線同時偏波観測、VERAのSiO分子の振動励起状態v=0, 1, 2, 3 の4輝線同時観測、MERLIN望遠鏡によるOH分子多輝線偏波観測、すばる望遠鏡を用いた近赤外線の偏波観測のデータを、ALMA等のデータと比較しており、まとめの成果論文は、投稿準備中段階にある。コロナ感染症の影響で、新しく取得したJansky VLAのSiO輝線のデータ解析と議論のために、NRAOへの訪問が延期されているため、データ解析の一部に遅れが生じている一方で、OH輝線データについては、ゼーマン効果の検出の可能性のあるメーザー成分を抜き出し、3次元での磁場強度の情報を明らかにする途上にある。このことは、今回のプロジェクトの主目的の一つであり、重要な進展の一つと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度はコロナウィルス発生から3年が経過し、あらゆる箇所に影響が及んでいるが、上記の通り、進展もあったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度が最終年度の予定ではあったが、コロナ感染症の影響のため、延長した。今年度は最終年度として、研究のまとめに入り、複数の論文の執筆、出版に力を注ぐ。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスのために当初の計画と異なったため、次年度以降へ繰り越しさせていただく。今年度は、コロナの状況が落ち着いていれば、旅費、その他、成果論文の出版、広報などに使用する計画である。
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Research Products
(12 results)