2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of pure piezo-ceramic deformable mirror for statistical research of cosmic evolution
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17K05396
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
大屋 真 国立天文台, TMT推進室, 特任准教授 (80399287)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光学赤外線天文学 / 補償光学 / 可変形鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
FEM解析を基に純圧電材料モノモルフ可変形鏡の設計を行った。以前製作したSiCモノモルフ可変形鏡ではSiCが非常に硬いので薄くすることが可能であり直径25mmと小型化した。一方で今回鏡材に用いる圧電材料はSiCに比べて柔らかく重いため、より大きめの直径45mmとして天体観測に用いられている一般的なバイモルフ型可変形鏡と同等の性能を確保した。実際の製作においては圧電素子と鏡材を常温で金属接合することが開発の大きな特徴の一つなので専門家の研究室を訪問して議論した。SiCモノモルフ可変形鏡も金属接合であったが剥離した可能性があり金属接合の強度に関する懸念があったが、きちんと接合されていれば接合面が剥離する前にセラミックが破断するほど十分な強度があるはずであることを確認した。きちんと金属接合するためには面粗さを小さくすることと十分に洗浄することが不可欠であることを製作企業も含めて確認した。 SiCモノモルフ可変形鏡が故障していることもあり冷却の予備実験を進めた。光学系を冷却後に室温へ戻す際は雰囲気よりも温度上昇が遅れるので着霜するが、ヒーターを用いて光学系を温めながら雰囲気を室温に戻すことで着霜を避けられることを実験的に確認した。当初の計画では波面センサも恒温槽内で冷却する予定であったが冷却の予備実験中に-10℃で故障してしまった。このことから波面センサは恒温槽外に出して恒温槽内の可変形鏡の評価試験を行うこととした。冷却下では可変形鏡のみではなく他の光学系も変形することが想定されるので、可動ステージに可変形鏡と参照面を載せて恒温槽内で交互に切り替えて評価する方式を関係者と議論して採用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
冷却予備実験の結果波面センサが-10℃でCMOSカメラ部分の動作不良により故障した。可変形鏡の冷却評価は-40℃で行う予定なので着霜の観察に波面センサと同じCMOSタイプの市販の安価なUSBカメラを用いて問題なく動作することを事前に確認していたので、波面センサが動作しないことは想定外であった。故障した波面センサは既に生産中止になっており修理不能であった。本課題には波面センサの調達予算は含まれないので代替品を用意するのに時間を要した。また、この結果を基に急遽測定系の設計変更を行う必要があった。ヒステリシス補正に関しては具体的な作業までには進んでいない。可変形鏡の調達は発注手続きに時間を要したので遅れているが、材料の鏡面としての面粗さについては国立天文台の先端技術センターで評価を行うこととして、別サンプルを測定する等の事前準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
可変形鏡については平成30年度に入り既に発注済である。加工前の材料を既に受領しており国立天文台の先端技術センターにおいても鏡材としての面粗さの評価等を行う予定である。波面センサに関しては既に代替品を確保した。また当初の計画を変更して波面センサは恒温槽外に設置することで設計しており、部品を選定し発注の準備ができている。ヒステリシス補正に関しては関係研究者と一般的な議論を重ねている。
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Causes of Carryover |
可変形鏡の発注・納品は初年度に予定していたが、当初の想定以上に景気が好転したこともあり製作企業の対応可能状況(納期・価格の見積もり)に変化が生じたので、発注を今年度に回したことが理由である。前年度中に進めた準備に基づいて既に発注を行ったので今後の使用計画に問題はない。
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