2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of pure piezo-ceramic deformable mirror for statistical research of cosmic evolution
Project/Area Number |
17K05396
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
大屋 真 国立天文台, TMT推進室, 特任准教授 (80399287)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光学赤外線天文学 / 補償光学 / 可変形鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は初年度の設計・手配を基に純圧電材可変形鏡の発注を行い、年度末に納品を完了した。納品を待つ間に各種鏡材の面粗さ測定を行った。研磨前の圧電素子は面粗さが大きく干渉型測定器では測れなかったので、焦点深度の変化で粗さを測定するタイプの測定器で測定を行った。比較のために圧電材ではないが鏡材としても使用されるセラミック材であるコージライトの研磨面のサンプルの面粗さも測定した。完成した純圧電材可変形鏡で同等の面粗さが達成できているかが最終年度の重要な確認項目の一つになる。 また平成30年度は波面センサを外付けにして恒温槽内に設置した純圧電可変形鏡を測定する準備を行った。これは、波面センサを-10℃に冷却すると故障するので可変形鏡と一緒に冷却できないという初年度に明らかになった問題への対処である。但し、波面センサを外付けにする場合、一度に測定可能な純圧電材可変形鏡上の範囲は恒温槽に空いている穴の大きさで制限される。半導体レーザーをシングルモードファイバーを通して出射し、拡散ビームの中心部分を平凸レンズでコリメートして測定平面鏡に当てる。反射して戻ってきた光がファイバー出射端手前でビームが収束するところにビームスプリッターを置いて波面センサ側に分離し、平凸レンズでコリメートしてから波面センサに入れる構成である。 恒温槽にはガラス窓もあり絶対測定は難しいので、恒温槽内に回転ステージを設けて純圧電材可変形鏡と参照面を切り替えて測定することにした。平成30年度は汎用の鏡を用いて、この方式で冷却下の鏡面を外付け波面センサで測定可能なことを確認した。冷却前に回転ステージを干渉計の前に置いて測定面を切り替えながら各面で干渉縞が出るように調整しておけば、切り替え前後のアライメント無しで両面の測定ができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主に次の二つの要因により遅れが生じている。一つ目は、純圧電材可変形鏡の完成が遅れたことである。これは技術的な要因よりも研究計画を開始するタイミングで当初想定以上の景気好転で製作企業の対応可能状況が変化したことによるものであった。平成30年度末には納品されたので、現在は試験を開始できる状況にある。もう一つは、波面センサが低温下で動作不能なことが判明し、波面センサを恒温槽外に設置して測定する必要があるという新たな課題が生じたことによる。この点については、平成30年度中に準備・試験を進め、汎用の鏡を用いて冷却下で測定可能なことを確認済である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年末に納品された純圧電材可変形鏡について早急に測定・評価を進める。純圧電材可変形鏡完成が遅れたこともあるので、この新方式可変形鏡の特性評価を重点的に進める。まず変形量・平坦性、面粗さといった可変形鏡の基本性能を確認し、次に冷却した場合の温度変化による変形の有無を確認する。冷却時の測定に関しては研究計画当初に予定していた方式とは異なり波面センサを恒温槽外に置いて測定しなければならないが、平成30年度中に準備した方法が良好なので円滑に進めることができると考えている。
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Causes of Carryover |
純圧電材可変形鏡完成に当初予定よりも時間を要したので本格的な実験を最終年度に集中的に行わざるを得なくなり、そのための予算を最終年度に回した。特に本研究課題で重要な冷却下での実験・評価を進めるために必要な機材の購入と、遅れを挽回するために研究関係者の施設を訪問する実験機会を増やすための旅費に優先的に使用する計画である。
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