2017 Fiscal Year Research-status Report
The search for the acceleration site in a solar flare
Project/Area Number |
17K05397
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
下条 圭美 国立天文台, チリ観測所, 助教 (00332164)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 太陽 / 電波天文学 / 太陽フレア / 粒子加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽圏最大の爆発である太陽フレアでは、ミリ秒から秒の時間スケールでMeV レベルのエネルギーを持つまでに粒子が加速されている。この加速された粒子は、宇宙空間に人類が進出している現在、重大なリスクの一つとなっている。一方、太陽フレアにおける粒子加速の理解は遅々として進んでいない。最大の理由は、理解が進んだ太陽フレアの磁場構造の中で、粒子加速の現場(加速領域)が特定できていないことにある。本研究の目的は、ALMAによる電波観測にて加速領域が太陽フレアのどの磁場構造に付随しているかを明らかにすることである。ALMA太陽観測は、平成27年までの試験観測期間をへて、平成28年12月から科学的観測を開始した。ALMAのような高空間分解能を有するミリ波・サブミリ波電波干渉計による太陽観測はこれまで例がなく、科学的価値のあるデータを創出するためには、まずは観測・データ較正・像合成を太陽観測用に最適化することが必要である。本研究課題の初年度である平成29年度では、 1)ALMA太陽試験観測から得られた観測データより、太陽観測用の観測スキーム・データ較正・像合成および誤差評価の方法を開発した。 2)ALMA観測所から公開された観測提案のためのデモデータに微小なフレアが発生していることを発見した。さらにALMAによる電波データだけでなくX線・極端紫外線データを組み合わせ、フレアから放出されるプラズマの温度・密度を推定する方法を開発・提案した。 3)ALMAで捉える太陽電波の基本的な性質を再度確認するため、豊川・野辺山で観測された60年を超える電波データを用いた研究を行った。その結果、静穏時の太陽から放射されるマイクロ波のスペクトルが太陽周期によって変化しないことを明らかにした。 を行った。これらの成果は英文査読論文として公表したほか、国際・国内の研究会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度である本年度はALMA太陽観測の基礎を構築するための期間と位置づけていたが、太陽観測用の観測スキーム・データ較正法・像合成・誤差評価を開発しただけでなく、デモデータを利用した科学成果まで上げることができた。さらに、豊川・野辺山データを用いて長期変動による知見も得られた。これらの成果をすべて査読論文として年度内に公表出来たことは、当初の計画を大きく上回る進捗である。また、平成29年度にPIとしてALMA太陽観測を実施しただけでなく、平成30年度のALMA太陽観測時間をPIとして確保できたことも、大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度にてALMA太陽観測データを利用するための基礎的な手法開発が終了しており、ALMAによる太陽観測データをPIとして取得している。さらに次期ALMA共同利用期間でもPIとして観測時間を確保している。来年度は、引き続きALMA太陽観測の手法開発を継続すると共に、得られたALMA観測データを解析し、科学成果を上げることを予定している。
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Causes of Carryover |
1,097円では、必要とする物品購入や旅費による支出が出来ないため、次年度予算と合わせて旅費として使用することにした。
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