2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲージ理論-重力理論双対性と可積分性を用いた強結合ゲージ理論の研究
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17K05406
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
佐藤 勇二 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (50312799)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 弦理論 / ゲージ理論-重力理論双対性 / 可積分性 / 強結合ゲージ理論 / 散乱振幅 / 熱力学的ベーテ仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の弦理論の主要な研究テーマの一つであるゲージ理論-重力理論双対性により,強結合超対称ゲージ理論は反ドジッター時空中の古典弦/重力理論を用いて解析することができる。これまで我々は,双対性の背後に現れる可積分模型を用いて,強結合散乱振幅を解析的に求める方法を定式化すると共に,関連する可積分系の基本的問題を解決し学際的な研究を推し進めてきた.本研究の目的は、我々の成果をさらに発展させ,ゲージ理論の強結合ダイナミクスの解明,ゲージ理論・弦理論・可積分系にまたがる新たな研究分野の開拓を目指すものである.
本年度は研究実施計画に従い,ゲージ-重力双対性により反ドジッター時空中の正則化された極小曲面の面積 (弦の古典作用) で与えられる強結合ウィルソンループの真空期待値,強結合散乱振幅に対応する光的経路からなるウィルソンループに演算子を挿入することにより得られる強結合での形状因子に関する研究を進めた.特に,これらの幾何学的対象の持つ対称性,及びその物理的な意味・強結合ゲージ理論ダイナミクスへの帰結について研究を進めた。
強結合におけるゲージ理論の解析はハドロンの物理など自然界の理解には大変重要であるが,摂動的な取り扱いができないため困難であり,通常は大規模な数値計算を用いて行われる.我々の結果は,強結合ゲージ理論のダイナミクスの理解へ向けた新たな方向性を与えるものである.また,4次元ゲージ理論,10次元超弦理論,2次元可積分模型の間の非常に興味深い関係も示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きな化学ポテンシャル周りでの強結合散乱振幅の展開法を6点振幅の場合に完成させ,collinear (赤外) 極限と Z_n 対称 (紫外) 極限間を結ぶ解析的な表式も得られた.その結果,collinear 極限に関する知見、弱結合散乱振幅との構造的な相違に関する知見も得た.可積分模型のクロスオーバー現象,等質サインゴルドン模型の1点相関関数を記述する微分方程式,粒子の運動量が一般の4次元的な配位となる場合の研究,新たな幾何学的視点からの研究など,強結合散乱振幅,強結合ゲージ理論についての多角的な解析を進めている.本研究の成果に基づき,可積分性に基づいたゲージ理論-重力理論双対性の研究に関する総説も出版した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの本研究による結果,摂動論及び有限結合での散乱振幅の提案を総合し,強/有限結合ゲージ理論ダイナミクスへの新たな知見・洞察をまとめる.可能であれば,コロナ禍により実施を見合わせていた研究会への参加などを通して,研究遂行に必要な情報収集・研究討論を行うとともに,本研究の成果を発信する.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの蔓延により,研究会への参加など旅費を伴う活動が全て中止となり,結果として繰り越しが生じた. コロナウィルスの蔓延状況によるが,次年度使用額は旅費および研究成果をとりまとめるために必要な物品等の購入に充てる.
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Research Products
(1 results)