2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲージ・ヒッグス統一模型からの宇宙物理への予言とプランクスケール物理への拡張
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17K05420
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
丸 信人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40448163)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲージ・ヒッグス統一理論 / 電弱対称性の破れ / ヒッグス粒子 / 暗黒物質 / 大統一理論 / コライダー物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に学術雑誌に投稿した論文(暗黒物質の候補として、ヒッグス粒子と同じ量子数をもつ第1励起ゲージ場が直接探索実験データと矛盾せず、質量が1テラ電子ボルトであれば残存量も同時に説明できることを指摘)が出版された。 一般にゲージ・ヒッグス統一模型では、ヒッグス粒子の質量を説明しつつ電弱対称性の破れを引き起こすためには、込み入った物質場が必要となることが多い。当該年度の研究において、境界上に標準模型フェルミオンを局在させる可能性を利用して、上記の目的を達成する簡単な模型を構築することに成功した。この枠組みでは一般的に説明の難しいトップクォーク質量を説明できることも利点である。 この簡単化した模型を用いて、LHCに代表されるコライダー実験で重要になるヒッグス粒子の3点相互作用定数に対する標準模型からの予言からのずれを計算した。そのずれは70パーセントにもなり、将来のコライダー実験で検証される可能性を指摘した。 申請者の先行研究にて提唱したゲージ・ヒッグス統一模型の大統一理論への拡張模型では、標準模型フェルミオンを高次元場に埋め込み、余分なゼロ質量フェルミオンを残さない画期的な模型であったが、湯川結合が許されないのが問題だった。標準模型フェルミオンを境界上に置くことで、この問題を解決する大統一ゲージ・ヒッグス模型を構築し、トップクォーク以外のフェルミオン質量、電弱対称性の破れ、ヒッグス粒子質量を説明することに成功した。 以上の研究成果に基づき、論文を3本執筆し、1本が学術雑誌に掲載された。共同研究者が学会講演を春秋それぞれ1回ずつ行った。また、国際会議にて2回のポスター発表を共同研究者が行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電弱バリオン数生成への応用を視野に入れた電弱対称性の破れに対する強い1次相転移の研究は、現在進行中であり、当該年度中に成果をあげることができなかったが、進展があったので、次年度には論文執筆に繋げられると期待する。その解析のために必要な現実的かつシンプルな模型を構築できたことは大きな進展である。また、研究計画外ではあるがフェルミオン質量階層性を再現する大統一模型への拡張模型を構築できたことも大きな進展となった。
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Strategy for Future Research Activity |
強い1次相転移の研究は、基本的な理解、計算の技術的な理解が深まってきたので、あとは有限温度ポテンシャルの計算を実行し、相転移の解析をする段階に来ている。
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Causes of Carryover |
学外から研究打ち合わせのために来学予定の共同研究者に謝金を支払う予定であったが、今年度は別経費を当てたため、今回は見送り次年度来学の際に謝金を支払う予定である。
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