2020 Fiscal Year Annual Research Report
Predictions to cosmology from gauge-Higgs unification and its extension to Planck scale physics
Project/Area Number |
17K05420
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
丸 信人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40448163)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゲージ・ヒッグス大統一理論 / フェルミオン質量階層性 / 電弱対称性の破れ / フラックスコンパクト化 / スカラー場量子補正 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題3として、「新物理がプランクスケールにしかない場合の現実的ゲージ・ヒッグス統一(GHU)模型構築の研究」を掲げた。この課題について、以下の研究実績があった。通常のGHUでは、高次元ゲージ場の余剰成分スカラー場をヒッグス場と同定する。この場合、その質量は量子補正によりコンパクト化スケールの1桁下ぐらいの質量になるので、コンパクト化スケールがプランクスケールではヒッグス粒子の質量を説明できない。しかし、コンパクト化空間に磁場が入ると、量子補正は相殺される。これはスカラー場が余剰空間並進の南部・ゴールドストン(NG)ボソンになるからである。スカラー場の質量生成には、擬NGにすべくその並進不変性を陽に破る相互作用を生成する機構が必要である。
最終年度の研究では、 そのことについて2つの研究を行った。まず6次元SU(2)ヤン・ミルズ理論において、この相互作用がゲージ不変な高次元演算子により実現する可能性を探った。結果は否定的であり、余剰成分スカラー場質量の量子補正は相殺されることとなった。次に、1ループの補正で余剰成分スカラー場の質量補正が有限になる条件を導出し、その条件を満たす並進不変性を陽に破る相互作用の候補を分類した。その相互作用のうち一番簡単な相互作用に着目し、6次元QEDにおいて余剰成分スカラー場の質量が有限に生成されることを示すことに成功した。その相互作用がテラ電子ボルトスケール付近で生成されれば、コンパクト化スケールがプランクスケールだとしても、ヒッグス粒子の質量を説明できることがわかった。この結果は非常に重要であり、余剰空間に磁場が入った理論における現実的GHU模型を構築する可能性を著しく向上させたことになり、ヒッグス物理だけでなく、インフラトンの物理やスカラー暗黒物質の物理へ応用の可能性が広がり大きなインパクトを与える可能性がある。
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