2018 Fiscal Year Research-status Report
Form Factor of Composite Higgs and Collider Physics
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17K05423
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
橋本 道雄 中部大学, 工学部, 准教授 (70573046)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒッグス粒子 / トップクォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒッグス粒子が標準模型(SM)で仮定されているような素な粒子であるのか、それとも、π中間子のように複合粒子であるのかは、依然として未解決の重要問題である。 一般に、複合ヒッグス模型が正しければ、on-shell で弱ボソンとの結合やトップクォークとの湯川結合に SM の値からのずれが生じ、さらに、それらの結合に関して形状因子の効果(off-shell 効果)が現れると期待される。 初年度は、そのトップクォークとの湯川結合について、ベクターライク・フェルミオン模型を用いて、on-shell でのトップ湯川結合が SM の値よりも大きくなる可能性について研究を行い、その研究結果を論文にまとめあげることができた。 今年度も引き続き、その方向で研究を進めており、2018 Joint workshop of TYL/FJPPL and FKPPL (2018/5/9-11, Nara, JAPAN)において、共同研究者の Giacomo Cacciapaglia らと研究打合せを行うなどの研究活動を進めてきたが、まだ残念ながら、論文として形を成すまでには至っていない。 主な研究活動としては、「質量階層性に対する新しい原理が導く多彩な物理現象とプランクスケールの物理」(信州大学、松本市、2018年9月18日~19日)において、「素粒子物理学の現状認識:LHC・フレーバ物理・陽子崩壊」というタイトルで研究発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の研究実績の概要にも述べたが、on-shell でのヒッグス粒子―弱ボソン結合やヒッグス粒子―トップクォーク結合に対する SM からのずれの効果と、それらの結合に関しての形状因子の効果について、研究を引き続き進めているが、論文としてまとまった形にはなっていない。 これは、研究課題について問題が生じているというわけではなく、今年度から次年度にかけて、自分の所属先が変わるという大きな出来事があり、その外的要因のため、研究に割く時間がほとんどとれなかったためである。 次年度は、落ち着いた環境で研究ができると期待されるので、順調に研究が進むと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
トップ湯川結合を SM よりも大きくするようなベクターライク・フェルミオン模型については、初年度に報告した論文にまとめあげることができた。しかしながら、その後の LHC の報告では、トップ湯川結合は標準模型の値に落ち着きつつある。もちろん、1つ1つの崩壊モードについて見ていくと、依然として、トップ湯川結合が SM からずれているモードがあり、結論は出ていない。 いずれにせよ、元々ターゲットにしていた LHC の高輝度アップグレード(HL-LHC)に向けて、より詳細にヒッグス粒子の形状因子という観点からの研究を進めていく必要がある。 次年度から研究環境も変わる予定であり、気分を新たに、研究活動に邁進していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度末に所属研究機関が変わるという大きな出来事があり、大学の業務等でいろいろと忙しくて、研究発表を行う時間がなかなかとれず、国内旅費として計上していた予算をあまり使うことができなかった。また、物品費の主な支出として予定していたコンピューターとバックアップ用ストレージ・ソフトウェア・コンピューター周辺機器についても、予定通りというわけにはいかなかった。 このため、次年度使用額が生じたのだが、この繰り越し分については国内での研究発表とともに、フランスやアメリカなどの海外へも渡航して研究発表を行う予定である。
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