2019 Fiscal Year Annual Research Report
Pairing dynamics in inner crust of neutron stars and neutron-rich nuclei
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17K05436
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関澤 一之 新潟大学, 研究推進機構, 特任助教 (00820854)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中性子過剰原子核 / 中性子星内殻 / Anderson-Bogoliubovモード / 対相関 / 集団励起 / 近接効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、中性子過剰原子核と希薄な中性子超流体とが共存する中性子星の内殻物質を対象に、超流動性の微視的起源である対相関が引き起こす低エネルギー集団モードを解明することを主たる目的とし、原子核密度汎関数理論を用いた以下の研究を行なった。1. 中性子星内殻物質に現れる低エネルギー集団モードの理論的予測。中性子超流体の素励起モードであるAnderson-Bogoliubov (AB) モードと中性子過剰原子核の集団励起の競合・結合機構を分析した。2. 中性子超流体と中性子過剰原子核の境界における対相関の近接効果の分析。3. 中性子過剰原子核と非束縛中性子の相互作用の解明を目指した準粒子共鳴の研究。4. 関連して、閉殻配位のドリップライン近傍中性子過剰核における集団励起、また、1次元スラブ構造を持つ内殻物質の並進集団運動の研究を行なった。主要な結論は以下の通りである。 1.中性子星内殻に現れる低エネルギー集団モードについて、双極励起の分析からABモードは原子核の内部に侵入せず、原子核の並進運動との結合が弱いことを明らかにした。また、4重極励起の分析からも、原子核の表面振動モードとABモードが共存して発現するが2つモードの結合が弱いことを明らかにした。原子核と中性子超流体の結合が弱いことは、内殻物質の熱伝導率の増大を示唆する。 2.セルサイズや密度について現実的な内殻配位を対象に対凝縮密度に現れる近接効果を分析した結果、中性子対相関の短いコヒーレンス長を反映して内殻のほとんどの密度領域で近接効果は弱いこと、一方で、コアに近い密度領域が例外となること明らかにした。 3.中性子過剰原子核の準粒子共鳴の分析から、対相関が、散乱振幅に新たな極をもたらすなど、非束縛中性子と原子核の相互作用を定性的に変更することを明らかにした。
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Research Products
(16 results)