2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K05443
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
永廣 秀子 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (10397838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中間子原子核 / 有限密度効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、η'中間子と原子核の系について、強く影響を及ぼすことが考えられるη中間子と核子の相互作用についての数値計算を行った。具体的には、4He に束縛されると考えられるη中間子について、WASA-at-COSYの実験研究者と共同研究を行い、ηと原子核間に働く相互作用の大きさに制限が付けられるか検証を行った。COSYの実験データとの詳細な比較の結果、相互作用の上限を決定することが出来た。その成果は、Physics Letters B 782 (2018)6-12 に掲載された。これらの結果は、η'中間子と原子核の系において、η'中間子とη中間子との混合によりη'中間子にも反映されるべき結果である。 また、理論計算として、これまで行ってきた η'中間子を含む結合チャネルの計算を推し進め、含めるべき相互作用や、チャネル等の再検討を行った。またそれを用いて、現在、現在存在する実験データとの比較を行い、理論計算のパラメータを決定した。今後これらを用いてこれまでに提示されている実験データを再現することが出来る理論模型を完成させ、η'中間子についての予想される実験データの提示を行っていく。 さらに、SPring-8 にて行われている η'中間子原子核の生成実験について、実験研究者と密に議論を行った。これは当報告者が過去に提唱した実験に直に対応するものであり、理論研究者として、個別の実験条件を詳細に考慮した理論計算の提示を行った。研究成果の発表は現在準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本報告者が提示した実験の結果について、具体的な議論を行うことが出来た。またη'中間子原子核と密接に関係しているη中間子と核子の相互作用についても実験研究者とともに詳細に調べ、成果を論文の形で発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究をさらに推し進め、η'と核子の系に関しての結合チャネルの計算を完成させる。その上で、それを元にして、η'と原子核の系に適応できるポテンシャルを導出する。その際に、実験上、必要なバックグラウンドの減少が期待される終状態の同時測定について、最も有効なチャネルを洗い出し、その測定条件を決定する。 また、MAMI の実験を再現する eta-MAID がN*(1890)バリオン共鳴がη'中間子-核子へ強く影響するという結果を示している。このバリオン共鳴がη'中間子-核子へ及ぼす影響について、研究を行っていく。
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