2018 Fiscal Year Research-status Report
内部状態を考慮に入れた中性子星を含むコンパクト連星の研究
Project/Area Number |
17K05447
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
谷口 敬介 琉球大学, 理学部, 准教授 (70586528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中性子星 / 準平衡解 / 内部状態 / 連星系 / ブラックホール / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、連星中性子星やブラックホール-中性子星連星に含まれる中性子星に関して、内部状態を考慮に入れたモデルを構築し、内部にクラストやコアという構造が存在することが連星系の準平衡段階にどのように影響するかを調べ、物理過程を解明することである。そしてさらに、構成した準平衡解を数値シミュレーションの初期データとして提供し、重力波物理学に貢献することである。 本研究では、中性子星内部を中心部分のコアと外殻であるクラストという二つの領域に分割し、クラストは弾性体として扱いコアは1つの完全流体として扱うための定式化を行う研究と、そのように構成した中性子星を含む連星系を数値的に解くためのコード開発を行う研究、という二つの研究を遂行する必要がある。今年度は、昨年度に引続き定式化を行った。まず、相対論的弾性体に関する先行研究を確認してクラスト部分について定式化を行った。また、完全流体として扱うコア部分については、今までの私自身の研究での定式化を利用した。次に、クラストとコアの接続部分の扱いについて研究し、定式化を完成することができた。現在は、この定式化を用いた数値計算コード開発に着手したところである。 上記の研究と並行して、中性子星全体を完全流体として扱って作成した連星中性子星の初期データを数値シミュレーショングループに提供し、合体シミュレーションの結果を得ている。また、磁場を持った自転する中性子星に関する共同研究も行った。これら二つの研究成果の内、前者は論文雑誌に投稿中であり、後者は投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、当初予定していた研究計画は、(1)中性子星内部をクラストとコアという二つの領域に分割し、クラスト部分は弾性体として扱いコアは1つの完全流体として扱う定式化を行う、(2)クラストに超流体中性子を入れた場合の定式化を行う、(3)連星中性子星の準平衡解を求める数値計算コードを開発する、というものであった。 昨年度に引続き、まず(1)の研究計画を推進したが、連星系の場合の扱い、および、クラストとコアの接続部分の取り扱いに時間を取られてしまった。そこで、(2)の研究計画を後回しにして、(3)の数値計算コード開発に取り掛かったが、最終的に連星中性子星の準平衡解を求める段階までは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、中性子星内部をクラストとコアの二つの領域に分割し、クラストは弾性体として扱いコアは一つの完全流体として扱うという定式化を完成させた。この定式化に基き、連星中性子星の準平衡解を構築するための数値計算コード開発に取り組む。まず、年度の前半を目処にコード開発を行う。必要な場合は適宜定式化の修正を行い、数値計算コードを完成させ、連星中性子星の準平衡解を得る。その後、クラストに超流体中性子を入れた場合の定式化を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は計算機3台とノートパソコン1台を購入し、専門的知識を提供してくれる研究者3名を招聘した。こうしてほとんどの予算を使用したのであるが、計算機の値段が若干値下がりしたため、6万円程度の金額を次年度に繰り越すことになった。 次年度は、遅れている研究を挽回するため、2台の計算機を購入し、専門的知識を提供してくれる研究者を招聘する予定である。
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