2018 Fiscal Year Research-status Report
新しいトポロジカルブラックホール解の構成とその安定性解析
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17K05452
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
富沢 真也 東京工科大学, 教養学環, 准教授 (20624042)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 5次元 / 逆散乱法 / 真空解 / ブラックレンズ / ブラックホール / 3次元多様体のとトポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
Hawkingのトポロジー定理によると、4次元の定常時空では、ブラックホールの表面のトポロジー(形状)は、球面に限られる.しかし、5次元(以上)の高次元理論では、許されるブラックホールのトポロジーは球面一つだけではない.例えば、5次元理論へ一般化されたトポロジー定理は、球面 S^3、リング形状 S^1 × S^2、レンズ空間 L(p,q) (p、q:互いに素な整数)の3つのトポロジーを許容する.球面やリング形状のブラックホールの真空解はすでに発見されていたが、レンズ空間の位相をもつブラックホールの正則な真空解は、発見されていなかった。高次元ブラックホールのさらなる一般化を試みるために、5次元アインシュタイン方程式の厳密解として、レンズ空間のトポロジーを持つ新しいブラックレンズ解を構成し、その物理的性質について議論した。具体的な成果は以下の通りである:
(1)5次元時空のブラックホールは、ホライズンのトポロジーと無限遠のトポロジーを関係付けるNUT電荷保存則を満たす必要がある。逆散乱法を用いて、導出した5次元アインシュタイン方程式の漸近平坦で、軸やホライズンで正則な真空解として、「NUT電荷保存則」を満たすような境界条件を導いた。また、その解の1角運動量極限や静的極限について、物理的性質を調べた。 (2)5次元 超重力理論において、超対称多電荷ブラックレンズの厳密解を構成し、その物理的性質や解の安定性について調べた。角運動量が0になることが許されないことと双極磁荷が存在しないとホライズンが安定して存在しないことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
逆散乱法を用いて、5次元アインシュタイン方程式の漸近平坦な真空解として、「NUT電荷保存則」を満たすようにブラックレンズ解を構成したが、解が煩雑であることと解に含まれるパラメータが多いことから、一般の場合には、解の正則性や閉じた時間的曲線の非存在について確認することは困難である。そのため、本研究では、その解がかなり簡略化される1角運動量極限や静的極限において解析した。これらの極限では、解は正則にならないことと、閉じた時間的曲線が存在することを示すことができたため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
求めたブラックレンズの真空解において「局所ペンローズ不等式」を破るような摂動解の初期条件を数値的に求め、軸対称摂動に対する解の不安定性を明らかにする。
前研究で発見した超対称ブラックレンズ解に「局所ペンローズ不等式」を破るような摂動解の初期条件を数値的に求め、軸対称摂動に対する解の不安定性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
ノートパソコンを予定額より安く購入できたため。 次年度、この差額分と2019年度の予算をを学会・研究会の旅費や端末の購入として支出する。
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